研究課題
2019年度には、岡山大学で開発したCT透視ガイド下穿刺ロボット(Zerobot)によって高精度な3次元穿刺が可能であることを証明した非臨床ファントム試験、動物試験の結果の解析と論文投稿を行った。研究結果の概略としては、ファントム試験において、平均の穿刺誤差角度はロボットにおいてXY平面上で0.4度、YZ平面上で0.6度、穿刺補助装置を用いた用手法においてXY平面上で3.7度、YZ平面上で0.6度であり、ロボットの方がより高精度であった。動物試験において、平均の穿刺誤差距離は穿刺中の針軸調整を加えた群で2.5mm、調整を加えない群で5.0mmであり、調整を加えない群でも高精度な結果が得られ、さらに調整を加えることで精度は向上した。本研究論文はEuropean Radiology誌に掲載された。上記、非臨床試験の結果をうけて、さらにシステムの改良、開発を進めた。高精度ターゲティングに関して開発した、ロボットの構造的なパラメータを補正するキャリブレーションの手法を用いた運動学パラメータの補正、CTガントリー平面に対するロボット設置の垂直度を取得し補正する手法、CT画像の針姿勢情報を基にロボットの初期関節角度を補正するアルゴルリズムなどの調整、改良を行った。さらに、穿刺中に生じた針のズレ修正のために開発した方法論(特許出願済み)に関しても、システム面での改良を進めた。ロボット自体の機能改良に伴い、3次元穿刺実現のために開発したシステムの改良や修正を要することとなった。2020年度穿刺精度の再検討を実施した結果、新たに穿刺アルゴリズムの微調整と今後の産学共創での技術開発を進めるためのタスクが明確となった。