研究課題/領域番号 |
17K10442
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
佐野村 隆行 香川大学, 医学部, 助教 (80629080)
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研究分担者 |
奥田 花江 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (10437692)
岡野 圭一 香川大学, 医学部附属病院, 准教授 (20314916)
久冨 信之 香川大学, 医学部, 准教授 (20552045)
山本 由佳 香川大学, 医学部, 准教授 (30335872)
西山 佳宏 香川大学, 医学部, 教授 (50263900)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 局所肝機能 / Tc-99m GSA / ダイナミックSPECT法 |
研究実績の概要 |
肝細胞癌や胆管細胞癌などの肝腫瘍に対し肝切除(右葉切除等)を行う際に残存させる肝臓の代償性肥大を目的に経皮経肝的門脈塞栓術(PTPE)が広く行われている。これは肝切除前に残肝の体積を増大させることで術後肝不全のリスクを低下させる狙いがある。通常CTを用いPTPE前後の残肝体積を算出し肝機能との対比を行ったのち切除可能か否かの判断を下すが、実際には体積と従来の肝機能検査との比較のみでは乖離がみられ正確性に欠く。体積比較および従来の肝機能評価に加え、我々はコンパートメントモデル解析法を用いたTc-99m GSAダイナミックSPECT法による局所肝機能の定量的評価法を考案した。本研究ではこの評価法がよりシビアな患者の肝切除も可能となりえる、精度の高い手術適応決定因子として使用出来るかどうかの検討を行う事である。 悪性肝腫瘍51名にTc-99m GSA SPECT/CT検査を行った。ダイナミック検査として20分間の連続SPECT収集を行った。コンパートメントモデル解析法から左心室に入力関数を設定し、肝臓の時間放射能曲線を測定し、肝臓のK1値、k2値、k3値、Ki値が得られる解析方法を考案した。術後の肝不全指標として、International Study Group of Liver Surgeryのposthepatectomy liver failure(PHLF)を求めた。 PHLF陽性群は16例、PHLF陰性群は35例であった。PHLF陽性群とPHLF陰性群において、従来の肝機能指標(ビリルビン値、アルブミン値、コリンエステラーゼ、血小板、ICGR15)に有意差は認められなかった。一方、K1値はPHLF陽性群はPHLF陰性群と比べ有意に低値を示した。 Tc-99m GSAダイナミックSPECT法からコンパートメント解析により得られたK1値は術後肝不全の有無と関連し術後肝機能の予測に有用である可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目的であるTc-99m GSA SPECT検査を術前の肝腫瘍患者に実施でき、また、新たな解析方法であるコンパートメントモデル解析法の有用性が検討できている。
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今後の研究の推進方策 |
Tc-99m GSA SPECT検査を術前の肝腫瘍患者に実施できている。今後も術前の肝腫瘍患者に引き続きTc-99m GSA SPECT検査を行う予定である。今後は経皮経肝的門脈塞栓術(PTPE)前後にTc-99m GSA SPECT検査を行い、その局所肝機能評価の有用性を検討していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 予定していた一つの学会出張を取りやめたため残が生じた。 (使用計画) 学会出張旅費に充てる。
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