研究課題/領域番号 |
17K10452
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
中塚 誠之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (50188984)
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研究分担者 |
井上 政則 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (30338157)
鳥飼 秀幸 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (40626694)
小黒 草太 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師(非常勤) (50383716)
田村 全 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (50594602)
屋代 英樹 慶應義塾大学, 医学部, 共同研究員 (90327643)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | PTBD / 胆管 / リンパ管 / 門脈 / IVR |
研究実績の概要 |
1. 摘出豚肝臓での肝実質離開圧の計測 研究室にて、摘出豚肝臓に22Gチバ針(PTBD針)を穿刺して、一般的な点滴ボトル(使用後のプラボトル、内容は水道水)に接続した。この際、三方向活栓につないで点滴圧を計測している。点滴につないだボトルの高さを変化させることにより針先端の圧を変化させて、点滴が落ちながら肝実質離開を生じせしめる肝実質離開圧を計測した。摘出豚肝臓の3点で同様に圧計測し、3点ともに肝実質離開圧は89mmHgであった。このことから豚摘出肝の肝実質離開圧は89mmHgであり、それ以下の圧での点滴注入では肝実質離開は行らないものと判断した。
2. 生体豚肝臓の穿刺造影 全身麻酔下に開腹し、豚肝臓を露出。22Gチバ針(PTBD針)を穿刺して、点滴ボトル(造影剤)に接続。この際、三方向活栓につないで点滴圧を計測。点滴につないだボトルの高さを調整し点滴圧を60mmHg程度(実験1で得られた肝実質離開圧より十分に低い圧)とした。ここで、X線透視観察しながら22Gチバ針先端の位置を変化(穿刺)させた。点滴の開始(つまり造影剤注入)が得られた際に、X線透視観察ならびに撮影(場合により用手造影)を行い、管腔構造(胆管、門脈、肝静脈、リンパ管)の穿刺、描出を確認した。その結果、肝実質離開を起こすことなく、安全かつ低侵襲に各種管腔構造の造影が得られることが判明した。なお、この実験の際、動脈の描出は得られなかったが、末梢肝動脈圧が60mmHgを越えている可能性も考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分な経皮的肝臓穿刺の経験に基づき、事前に十分な実験計画を立てられていたことによる。
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今後の研究の推進方策 |
1. 豚脾、腎、リンパ節、膵臓、皮下脂肪での同様の実験 上記と同様の手法で脾臓、腎臓、リンパ節、膵臓、皮下脂肪で実質離開圧を計測し、その70%程度の至適造影剤注入圧を設定する。 2. 臓器穿刺、造影 次にそれぞれの至適造影剤注入圧での造影剤注入を行う。管腔構造(脈管あるいはリンパ管)に造影剤が流入した際はX線透視、造影で造影剤の流入する管腔構造(脈管あるいはリンパ管)を確認する。 3. 同手法(点滴法)によるPTBDについての倫理申請書を作成提出する。同手法はとくに非拡張胆管に対するPTBDで有用と考えられ、倫理委員会承認が得られたのち、臨床例に応用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
他の臓器を用いる他の研究と、実験費用を折半できたため。 実験を腎臓、脾臓のみならず、膵臓、リンパ節などに応用する。豚の頭数は増やす必要はないが、対象臓器が増えるので、獣医師の協力をお願いする時間、実験施設を占拠する時間が増える。余裕のできた費用を費用増加分に充当する。
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