研究課題
本年度は、一昨年、昨年に引き続いて、細径チバ針による生体豚肝臓実質穿刺で、一定圧で針先端部において誘発される肝実質の離開の発生確率の計測を行った。まず、穿刺するPTBD針につなぐ延長ラインを以下のように準備した。ラインには2つの三方活栓を挟んで生理食塩水の点滴用ボトルに接続した。PTBD針近位の1つの側方ラインは延長ラインを介して造影剤を満たした10mLシリンジ、遠位の2つ目の側方ラインは延長ラインを介して圧計測用トラックに連結させ圧計測ができるようにした。遠位の三方活栓は3方向が繋がっている状態とし、点滴圧が圧計測できるようにした。PTBD針での肝穿刺時に、点滴圧が一定圧となるよう点滴ボトルの高さを調整した。上記計測準備と並行して、全身麻酔下の開腹、豚肝臓の露出を行っておき、まず、22Gチバ針(PTBD針)を超音波ガイド下に豚肝臓をグリソン穿刺・貫通しないように穿刺した。計測に臨んでは、三方活栓につないだ点滴圧を30、40、50、60、70、80mmHgとして、それぞれ豚肝臓のランダムな10か所にて実質離開が生じる確率を観察した。なお、管腔構造(胆管、門脈、肝静脈、リンパ管)が描出された場合は判定を除外した。その結果、30mmHgでは0/10、40mmHgでは2/10、50mmHgで1/10、60mmHgで3/10、70mmHgで3/10、80mmHgで10/10の確率で実質離開を生じた。このことから、昨年、一昨年の実験に引き続いて40mmHg以下に注入圧を設定すれば、肝実質では離開を生じないと考えられた。
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