研究課題/領域番号 |
17K10457
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
谷川 昇 関西医科大学, 医学部, 教授 (90227215)
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研究分担者 |
河野 由美子 関西医科大学, 医学部, 助教 (10598957)
宇都宮 啓太 関西医科大学, 医学部, 准教授 (20193914)
狩谷 秀治 関西医科大学, 医学部, 准教授 (40368220)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射性同位元素 / 悪性腫瘍 / 経皮的治療 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は悪性腫瘍に対する放射線同位元素を用いた新たな経皮的動脈放射線塞栓療法の開発である。in vitroにて、ラット腹水肝癌細胞AH109A-TCに対し、ガンマセルを用いた外照射実験を行った。同細胞は放射線照射線量に依存した増殖抑制効果を認め、放射線感受性を有する細胞であることを確認した。in vitroでは同細胞をDonryu ratとF344/NJcl-rnu/nu ratに移植し、腫瘍生着および増殖曲線を作成したところ、Donryu ratではほとんどの個体で一時的な腫瘍生着が見られたが全個体で移植7-10日以降に免疫応答による腫瘍の縮小を認めモデルには不適であることがわかった。F344/NJcl-rnu/nu ratでは全個体に腫瘍生着と持続する増大を認め、病理標本でも多血性で高度な細胞増殖能を有する腫瘍を確認し、皮膚腫瘍モデルの作成法を確立できた。 同腫瘍を両側背部皮下に移植したモデルにて、LipiodolおよびY-90標識Lipiodol(3.6MBq/100μL)を片側の腫瘍に直接穿刺、投与し抗腫瘍効果の観察実験を行った。AH109A-TC移植1週間後の腫瘍に対し、透視下でLipiodolまたはY-90標識Lipiodolを100μL皮下注射にて投与し、3日後、7日後にレントゲン撮影と腫瘍体積を測定し比較した。Lipiodol投与群では両側の腫瘍増殖率に左右差はみられなかったが、Y-90標識Lipiodol投与群では薬剤投与腫瘍の腫瘍増殖率に有意な低下が見られ、腫瘍増殖抑制効果を確認できた。またY-90標識Lipiodol投与群ではラット個体および腫瘍切片をIP プレートで撮影し、RIの残留量および標識安定性を推定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにて、ラット腹水肝癌細胞AH109A-TCに対し、ガンマセルを用いた外照射実験を行った。同細胞は放射線照射線量に依存した増殖抑制効果を認め、放射線感受性を有する細胞であることを確認した。 in vitroでは同細胞をDonryu ratとF344/NJcl-rnu/nu ratに移植し、腫瘍生着および増殖曲線を作成したところ、Donryu ratではほとんどの個体で一時的な腫瘍生着が見られたが全個体で移植7-10日以降に免疫応答による腫瘍の縮小を認めモデルには不適であることがわかった。F344/NJcl-rnu/nu ratでは全個体に腫瘍生着と持続する増大を認め、病理標本でも多血性で高度な細胞増殖能を有する腫瘍を確認し、皮膚腫瘍モデルの作成法を確立できた。 同腫瘍を両側背部皮下に移植したモデルにて、LipiodolおよびY-90標識Lipiodol(3.6MBq/100μL)を片側の腫瘍に直接穿刺、投与し抗腫瘍効果の観察実験を行った。AH109A-TC移植1週間後の腫瘍に対し、透視下でLipiodolまたはY-90標識Lipiodolを100μL皮下注射にて投与し、3日後、7日後にレントゲン撮影と腫瘍体積を測定し比較した。Lipiodol投与群では両側の腫瘍増殖率に左右差はみられなかったが、Y-90標識Lipiodol投与群では薬剤投与腫瘍の腫瘍増殖率に有意な低下が見られ、腫瘍増殖抑制効果を確認できた。またY-90標識Lipiodol投与群ではラット個体および腫瘍切片をIP プレートで撮影し、RIの残留量および標識安定性を推定している。
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今後の研究の推進方策 |
腫瘍増殖の抑制は確認できたが、縮小効果は認めていない。in vitroでの検討では9Gyの吸収線量のγ線照射で1週間後に負の増殖率が見られていた。これまで行ってきた腫瘍Y-90標識Lipiodol投与量は100μLと固定している。これは投与量が全部腫瘍に留まると仮定した場合の推定で100Gy相当の吸収線量を与えることができるが、投与した腫瘍に縮小までは見られなかったため、投与時期や投与量、投与法においての再検討を行い、抗腫瘍効果を改善する余地があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
現時点で腫瘍増殖抑制は確認できているが、目標とした腫瘍縮小に至る抗腫瘍効果が未だ見られていない。そのため実験方法の再考を要する。 現在の計画では①皮膚腫瘍モデルに対し、腫瘍移植後から薬剤投与までの期間をより早める、②投与薬剤量を100μL固定でなく50-200μLまでの投与容量による増殖率の変化を確認する。③動脈アプローチができないかを模索する。という3点の検討を予定している。
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