新しい治療法である 光免疫療法 (Photoimmunotherapy (PIT)) を放射免疫療法(Radioimmunotherapy (RIT))又は化学療法などと適切に融合することによる新しい膵癌治療法の開発のため引き続研究を進行した。本研究の目的は、膵癌で高発現している分子を標的とした抗体に蛍光部分と放射性同位元素を別々に標識、又は両方を標識した後、膵癌モデルにおける単独や併用療法の効果を前臨床段階で評価することである。 29 年度は、α6β4インテグリン標的放射免疫療法と BEZ235(PI3K/mTOR 同時併用阻害剤)の組合せによる抗腫瘍効果検討を行った。併用療法は、単独に比べ高い治療効果を示すことを明らかにした。しかし、α6β4インテグリンを標的とした抗体に蛍光部分と放射性同位元素両方を二重標識してみたが効率の良いプローブが得られなかった。次年度では、α6β4インテグリンの代わりとなる他の候補標的分子と抗体などを検討した結果、組織因子を標的とした Anti-tissue factor 抗体 Human epidermal growth factor receptor 2 を標的とした Anti-HER2 抗体などが光免疫療法(PIT)に有効であることが判明できた。また、光免疫療法(PIT)における血管周囲癌細胞の急速死が血管の透過性増大に至り、この現象を可視化するためラジオトレーサーを用いた分子イメージング技術を使って検討中である。得られた成果をまとめて国際学会や雑誌に発表した。
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