急性放射線障害は、高線量の放射線被ばくにより組織幹細胞がダメージを受ける。幹細胞移植が効果を示す場合があるが、ドナー不足や拒絶反応などの課題が挙げられる。再生医療におけるiPS細胞最大の優位性は、拒絶反応の無い移植の実現であるが、被ばくした治療対象者本人由来の細胞から作製したiPS細胞の再生医療応用の可能性は未だ不明である。本研究では、被ばくマウスから分離した線維芽細胞を用いて、iPS細胞が作製可能であること、一方で線量に応じて樹立効率が減少することを明らかにした。さらにゲノム不安定性について検討を行う中で抽出された課題は、放射線障害治療分野における今後の研究に役立つものと期待される。
|