研究課題/領域番号 |
17K10467
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石川 仁 筑波大学, 医学医療系, 教授 (70344918)
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研究分担者 |
松本 孔貴 筑波大学, 医学医療系, 助教 (70510395)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射線治療 / 免疫チェックポイント阻害剤 / 腫瘍免疫 / 尿路・膀胱癌 |
研究実績の概要 |
前向き臨床研究については、国内で膀胱温存療法を積極的に施行している大阪医大、埼玉がんセンターと浸潤性膀胱癌に対するアテゾリズマブ併用放射線治療による多施設共同臨床試験(BPT-ART)を企画した。3施設の放射線治療医での治療計画と照射線量に関する会議を得て、体制整備、研究内容について、研究施設の泌尿器科医、放射線治療医、および効果安全性委員などとの合同会議で決定したプロトコールを作成し、倫理審査での承認を得て、2019年1月から登録が開始された。2019年3月までに2例の試験治療を行った。また、本研究課題の1つである、臨床検体を用いた治療効果予測のために付随研究を企画し、治験開始前及び24週時、増悪/再発時の組織検体について、癌関連遺伝子の変異解析及び遺伝子発現の解析を行うこととした。同時に規定時点の血液検体については、cell-free DNAを用いた解析を行う。これらのバイオマーカーと主要評価項目、副次評価項目との関連性を検討することとして倫理審査での承認を得た。 過去に膀胱温存療法を施行した症例について、生検組織に関する2種類のPD-L1抗体、アポトーシス関連のp53、Waf-1、HIF-1、NF-kB、RhoA、RhoBについて免疫染色を行った。 尿路癌に対する陽子線治療の臨床的な有効性は当施設以外からの報告はない。そこで根治的治療を施行した上部尿路癌5例の臨床経過についてまとめ、Clinical Molecular Oncology誌に掲載予となった(2019年3月27日付)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は臨床と基礎の両面から刷新的な膀胱温存療法の開発を目指すものである。企画から各種手続きまでに2年程度を要することが見込まれたが、研究計画の検討開始から1年6ヶ月で登録開始となった。また、付随研究も承認され、検体を用いた研究も並行して行うことが可能となった。登録も試験開始から6ヶ月で6例を予定しているが、2例の治療が終了し、1例の治療準備中である。既治療例の検体による免疫染色も完了し、今後は解析作業に移行する。細胞実験については研究協力者が他研究に従事したため、十分な成果が得られない状況であったが、2月以降は本研究を主研究として実施中である。
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今後の研究の推進方策 |
臨床研究に関しては研究内容をHPで公開することで症例登録を加速させることとした。また、治療計画とそのフィードバックを目的に、2019年5月下旬に多施設合同会議を予定した。付随研究に関してはこれまでに治療した2症例は同意が得られているので、引き続き登録症例に対する説明を継続してデータ蓄積を目指す。 細胞実験は今年度前半にデータを揃えて解析できるようにするため、大学院生が実験の一部を担うこととした。免疫染色については計算中である。効率良く結果を得るために、同時に画像解析システムでの検討も行っている。
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次年度使用額が生じた理由 |
免疫染色のための抗体の一部、および試薬が他の研究費で購入したものを使用できることになったこと、研究代表者が臨床試験と臨床検体を用いた研究に注力し、一方で研究協力者が本課題以外の研究に注力したため、細胞実験が遅れたこと、などが要因である。 次年度は大学院生と実験助手にも本研究の補助を依頼しすでに活動を開始し、この領域での研究推進を図る。進捗状況に関しては2週ごとのミーティングを継続して行う。
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