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2018 年度 実施状況報告書

マイクロRNAによる上皮間葉転換の制御と放射線感受性の修飾

研究課題

研究課題/領域番号 17K10472
研究機関富山大学

研究代表者

小川 良平  富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 准教授 (60334736)

研究分担者 鍵谷 豪  北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (30524243)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードゲノム編集 / EMT
研究実績の概要

CRISPR-Cas9システムを利用することにより、HCT116細胞にEMTマーカー遺伝子であるE-カドヘリン(Ecad)およびビメンチン(Vim)の下流にウイルス由来の2A配列を介して、ウミシイタケルシフェラーゼ(hRLuc)遺伝子およびホタルルシフェラーゼ(FLuc)遺伝子の導入に成功した。得られた組換え細胞のゲノム構造は予想通りのものであること、リアルタイムPCR法やイムノブロット法によりそれぞれのルシフェラーゼ遺伝子の発現は、EcadおよびVimの発現に連動していることが示された。現在までに複数の癌細胞株にこのシステムを導入しているが、これらの細胞を使用して、放射線によるEMT誘導の細胞株間の違いについて検討を進めている。これまでのところ、TGF-βに応答してEMTを誘導する癌細胞株は放射線でも応答することが示された。それらの誘導は抗酸化剤であるNACの添加で抑制された。その際、TGFβレセプター1(TGFbR1)阻害剤を添加するとその誘導が抑制された。そこで放射線によるTGF-β1、TGF-β2、TGFbR1、TGFbR2の発現誘導についてリアルタイムPCR法で調べてみたところ、TGF-β1、TGFbR1の発現についての変化はみられなかったが、TGF-β2、TGFbR2については発現が増加する細胞も認められた。また、ヒトのケラチノサイト由来の細胞株HaCaT細胞に同様のSMTモニターシステムを導入し、大気圧プラズマの照射によりEMTが誘導されるかどうかを調べている。現状では、EMTが誘導される傾向は認められるものの、その変化はクリアーなものではなく、今後も検討を続けていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

EMTをモニターする細胞の構築は完成したが、その過程で細胞の種類によりその応答が大きく異なることに気がついた。そこで、複数の癌細胞にこのシステムを導入することで、種々の癌細胞でEMTの誘導を簡便にモニターできるシステムを立ち上げ、当初予定にはなかったが、放射線などの治療刺激によるEMT誘導メカニズムの解析を試みているため予定よりも時間を費やしている。EMTの誘導メカニズムの解析については、すでにいくつもの報告がなされてはいるが、今回立ち上げた新たなシステムを利用することにより、これまでに知られていない新たなメカニズムの発見を期待している。これらの研究は今後の展開に有益だと考えている。

今後の研究の推進方策

今後はEMTとCSCを同時にモニターできる細胞を構築して、EMTの促進によりCSCに変化する細胞と、CSCに変化しない細胞との違いについての解析を行いたいと考えている。それぞれの細胞について、遺伝子発現やタンパクをコードしていないRNA(ncRNA)の発現について網羅的に解析を行い、違いを作り出している遺伝子やncRNAを同定し、そのメカニズムの解析を行いたい。さらに、同定した遺伝子やncRNAを利用した新たな癌治療の戦略を構築していければと考えている。

次年度使用額が生じた理由

2年目にもっとも費用がかかると考え、金額をもっとも大きく割り当てていたのに加えて、前年度からの繰越金も大きかったため、すべてを使用することができず3年目への次年度使用が生じた。

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公開日: 2019-12-27  

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