研究課題/領域番号 |
17K10474
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
森鳰 章代 京都大学, 生命科学研究科, 研究員 (20722648)
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研究分担者 |
小林 稔 京都大学, 生命科学研究科, 特定助教 (40644894)
原田 浩 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (80362531)
子安 翔 京都大学, 医学研究科, 特定病院助教 (80781913)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | がん / 放射線治療 / 低酸素 / 放射線抵抗性 |
研究実績の概要 |
我々の研究室がDNAマイクロアレイを活用したゲノムワイドなスクリーニング系で同定した遺伝子Xを対象に研究を実施した。遺伝子Xが低酸素依存的に発現し、放射線抵抗性を亢進するメカニズムを解明する目的で、分子細胞生物学的実験を実施した。まず申請者が構築したDNA損傷部位を可視化するレポーター遺伝子を活用して、遺伝子XがDNA損傷修復能を有するか否かを検証した。その結果として、DNA二重鎖切断の相同組換え修復機構(homologous recombination repair機構)が、遺伝子Xによって更新する可能性を示唆する結果を得ることが出来た。また、遺伝子Xで処理した細胞株の中で、抗酸化機構の亢進を示す結果が得られた。具体的には、Nrf2下流遺伝子の発現が、mRNAレベルで亢進することを確認することが出来た。これらの機序を介して、遺伝子Xが、細胞の放射線抵抗性を亢進することをコロニー形成試験法で確認することが出来た。 次に、新規遺伝子群の予後予測マーカーとしての有用性を検証した。がん細胞を移植して作成した担がんマウスに溶血剤を投与して、腫瘍内の低酸素分画を強制的に増加させた後、当該担がんマウスから血漿を採取し、血中の遺伝子Xレベルと腫瘍低酸素の量とが相関するか否かを検証したところ、確かに正の相関が確認された。 以上の結果から、遺伝子Xが細胞の放射線抵抗性を亢進する活性を持つこと、および血中の遺伝子X産物を定量することで、腫瘍低酸素の量をモニターできる可能性を確認することが出来た。
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