研究課題/領域番号 |
17K10484
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
大屋 夏生 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 教授 (70281095)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 放射線治療計画 / 体格 / PTV |
研究実績の概要 |
体格調整放射線治療計画(PhART)の確立に向けて、いわゆる「体格」という漠然とした概念を、どのように数値化するかを決定する必要がある。人体の「体格」に関連する幾何学的情報としては、「身長」と「体重」のみが日常診療上入手可能である。これらの2つの値のみから算出可能で、かつ臓器の大きさと最もよく相関する「体格指数」の算出式を決定することを目的とした。臓器としては肝臓を主体とした。無作為抽出、極端な体格の追加、基礎疾患の除外、平均的な体格の除外、と症例の選択プロセスを経て、約50人分のデータを集積し、定量的な解析を試みた。臓器の大きさが体格因子に相関し、定量的に推測可能な「体格指数」の算出式が設定可能であると予測したが、現時点では、臓器の大きさと体格因子との相関が明確に認められず、算出式における係数の決定が困難な状況にある。計画作成時点で、体格指数が定義できない可能性も想定しており、その場合はPhART自体の意義が喪失し、このようなアプローチが有望でないという結論せざるを得ない。脳、肺など、他の臓器の症例を、肝臓と同様なプロセスで母数を増加することも検討しているが、いずれも体格以外の因子として年齢、性別の影響が大きいことが、初期のサンプルで推測されている。仮に結論がネガティブなものであっても、一定の臨床上の意義を見出すことができるのではないかと思われるが、現時点では少なくとも治療計画への応用に有用なデータは得られておらず、解析結果の発表には至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
解析対象とする症例を極端な体格なもの、臓器機能が正常に近いものに絞ることで、一定の傾向が認められると思われるが、あまり恣意的な選択は実臨床の実態から乖離し、臨床的な応用範囲が限定される可能性がある。その結果、症例の抽出方法に試行錯誤する現状であり、大幅な進捗が得られていない。
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今後の研究の推進方策 |
普遍的に体格を反映する指数の確定は困難であるという、否定的な結論が導かれる可能性がある。臨床的に有意義でないと結論づけるか、研究デザイン上の不備かを改めて検討する必要がある。
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次年度使用額が生じた理由 |
普遍的に体格を反映する指数の確定は困難であるという否定的な結論において研究を完結するか、臨床的な意義を抽出するか、研究デザインの問題点を洗いなおすか、いくつかの可能性について検討する必要が生じたため、これまでの集積データの再検討を行う。
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