個体の身長と体重のみから算出可能で、かつ実質臓器の大きさを最もよく反映する「体格指数P = aH-(1-a)W (a = 0~1); H =身長、W =体重の立方根」を定義する目的で、肝体積と体格のデータセットを集積した。Aの値を0から1まで0.1刻みでPの値を求め、Pと肝体積Lとの相関がもっとも強くなるaの決定を試みた。いずれのaにおいても、PとLの明らかな相関は認められず、普遍的に体格を反映する指数の確定は困難と考えられた。比較的極端な体格の症例に絞った解析においても同様の傾向であった。以上のデータからは、日常的な放射線治療計画においてPTV設定プロセスに体格を反映する因子を普遍的に導入することは臨床レベルの意義が乏しいことを示唆する結果であった。 日常診療における治療計画では、体格よりも当該臓器のサイズおよび予備能を個別に考慮して標的体積を決定すべきという従来の考え方を補強するものであった。体格因子の導入について否定的結論ではあったが、その理由も考察の上論文投稿の準備中である。
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