研究実績の概要 |
呼吸性移動を伴う体幹部の強度変調放射線治療(Intensity-modulated radiation therapy, IMRT)において、治療計画装置に備わるrobust optimization機能の堅牢性について検討した。 擬似的な腫瘍(直径3cmの球体)、肺、脊髄に模したファントムを呼吸同期プラットフォームに固定し、1分間に10回の実際の呼吸に準じた動きで移動させながら、振幅を10mm、15mm、20mmに順次延長して4DCTを撮影した。照射の条件は、強度変調による0度~180度までの時計回りおよび反時計回りの半周2回照射とし、従来のPTVを設定する方法(ITVに5mmマージンを追加したPTV法)と10相の画像によるrobust optimization機能を用いる方法(不確かさ5mmを考慮したrobust法)の2種類について、振幅ごとに最適化を行った。処方線量は48Gy/4回をD95%に規定し、80% isodoseとなるように調整した。その結果、振幅が10mm、15mm、20mmにおいて、呼吸移動を加味したCTV99%で標準化した時のCTV98%は、それぞれPTV法で54.3Gy, 54.3Gy, 54.4Gy、robust法で54.5Gy, 54.4Gy, 54.3Gyとほぼ同等の結果が得られた。また、肺の平均線量は、それぞれPTV法で5.9Gy, 6.3Gy, 7.3Gy、robust法で5.3Gy, 5.7Gy, 7.0Gy、脊髄のD2%はPTV法で8.7Gy, 7.7Gy, 9.1Gy、robust法で7.6Gy, 7.0Gy, 7.1Gyとrobust法でより低い線量に抑えられた。 これらの結果より、robust法の高い堅牢性が示唆された。今後、さらに呼吸条件を変えながらデータを蓄積し、線量の実測を行って検証を進める予定である。
|