研究課題
基盤研究(C)
体幹部の強度変調放射線治療において、呼吸による腫瘍位置の変動がもたらす線量への影響について、ファントムと呼吸同期プラットフォームを用いて検討を行った。その結果、腫瘍位置の変動が限られていれば(10 mm程度まで)、強度変調下でも線量分布の精度が高く保たれることが示された。一方、腫瘍位置の変動が大きくなりすぎると、予想外の低・高線量領域が生じ、実臨床において治療効果の減弱や副作用の増強が生じる可能性があることが示唆された。
放射線治療
昨今の放射線治療の進歩は著しく、中でも最も進んだ治療の一つである強度変調放射線治療が我が国でも普及しつつある。この治療では、線量の異なる部分を重ね合わせていく高度な照射技術が用いられるため、呼吸によって移動する標的に対して必要な領域に予想通りの線量が照射されているか不確かな部分がある。今回、この標的の移動がどの程度までなら精度の高い線量(域)が担保されるのかを示した。今後、益々適用の機会が増えるであろう強度変調放射線治療において、標的の呼吸性移動対策の必要性の有無を示すものである。