本研究では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)のパルス中性子ビーム照射場の品質保証を目的として、中性子に感度を持つ検出器要素技術を応用し(ボロンカソード電極とガス電子増幅器:GEM)、放射線治療の高度化を進めるうえで重要な中性子分布の測定を、迅速かつ2次元で評価を行うことが可能なリアルタイムパルス中性子ビームモニタシステムの開発を進めてきた。 本事業から助成を受けるにあたり、これまで研究開発を進めてきた検出器システムの基本構成を流用して本研究目的を達成できるよう検討を進めてきた。コンピュータシミュレーションにより中性子コンバータの最適厚、検出器構成の最適化を行い、実用的な検出器として必要とされる長期動作安定性、耐久性を確保するため、低温焼成セラミックスを用いたGEM(LTCC-GEM)を使用することとし、理化学研究所の小型中性子源システム(RANS)や京都大学複合原子力科学研究所のBNCT照射場(KUR重水照射システム)を使用した中性子照射試験から、検出器構成、動作電圧等、検出器システムとしての性能評価と最適化を行った。さらには、評価したいエネルギー領域の中性子に対して、検出器での中性子吸収を極力抑えた高温焼成セラミックスを用いたGEM(HTCC-GEM)の製作、性能評価を進めた。 補助事業期間を延長し、新たに開発した機器を使った検出器システムの構築と、装置性能の評価のための追加実験を計画していたが、新型コロナ感染症の感染拡大に伴い、当初の計画を遂行することはできなかったが、研究成果を論文にまとめ報告した。
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