研究課題/領域番号 |
17K10496
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
吉田 謙 関西医科大学, 医学部, 准教授 (10463291)
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研究分担者 |
辻本 豊 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (90773135)
隅田 伊織 大阪大学, 医学系研究科, 招へい教員 (10425431)
山崎 秀哉 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50301263)
田中 英一 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (10324774)
古妻 理之 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター(臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (00641870)
武中 正 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80626771)
増井 浩二 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 客員講師 (20783830)
新保 大樹 大阪医科薬科大学, 医学部, 講師 (30535018) [辞退]
鳴海 善文 大阪医科薬科大学, その他部局等, 名誉教授 (90273664) [辞退]
門前 一 近畿大学, 大学病院, 教授 (10611593)
吉川 信彦 大阪医科薬科大学, 医学部, 非常勤講師 (10719917) [辞退]
吉岡 裕人 大阪医科薬科大学, 医学部, 助教 (90779711) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | リアルタイム線量計 / 遮蔽材 / VR |
研究実績の概要 |
乳癌のAccelarated partial breast irradiation (APBI)における臨床試験の検討を行った。APBIの検討結果において皮膚障害に注目し、皮膚の有害事象の発症内容詳細と、皮膚に投与された放射線線量との関係を求めることによって、皮膚線量の照射中のリアルタイムの線量測定についての意義を検討した。その非常に興味深い結果として、肋骨骨折に関しては、皮膚線量は全体的なボリュームへの投与線量よりも、定点的な投与線量の方が、影響が大きかった。そのため、今後、リアルタイム線量計により肋骨骨折を予防しようと思えば、面で測定したとして、面全体よりも部分的な局所線量に注目して測定できるような臨床応用系の確立が必要であると考えられた。これを論文化してAcceptされた(Breast Cancer, E-pub.)。 遮蔽材も、J Contemp Brachytherapy に、舌癌の患者における鉛の遮蔽材を挿入した治療患者に対して、計算上の遮蔽効果の実験を行い論文化した。 また、VRについては、Hololens2とHoloeyesを用いた骨盤組織内照射の実験モデルを作成中である。子宮および子宮内に臨床標的体積を作成し、周辺の直腸、膀胱などの隣接正常組織も作成、そこに組織内刺入を行うためのアプリケータ針をバーチャルで刺入留置しようと考えている。しかし、アプリケータ針の再構成に技術的な問題で遅れが出たり、直線的なアプリケータ針を曲線に変化させたりする点に困難があるなど微調整を行っている。こちらも、コロナ感染下で直接会い一つの器具の細かい点について打ち合わせが出来なかったため、時間的な遅延の原因となっている。今後、微調整を行いながら、下記にも示す教育資材化とリアルタイム線量計の実測実験とリンクさせるためのアプリ開発を行いたいと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
化学線量計や遮蔽材についての実測はコロナ感染下の現状、許されなかったので、乳癌のAPBIにおける臨床試験の検討を行いながら、皮膚線量の照射中のリアルタイムの線量測定についての基礎データを検討した(Breast Cancer, E-pub.)。皮膚線量は全体的なボリュームへの投与線量よりも、定点的な投与線量の方が、肋骨骨折への影響が大きかった。そのため、今後、リアルタイム線量計により肋骨骨折を予防しようと思えば、面で測定したとして、面全体よりも部分的な局所線量に注目して測定できるような臨床応用系の確立が必要であると考えられた。 遮蔽材も、J Contemp Brachytherapy に、舌癌の患者における鉛の遮蔽材を挿入した治療患者に対して、計算上の遮蔽効果の実験を行い論文化した。実際の治療は鉛で行う者の、計画用CTでは(鉛のアーチファクトで計算不能になるため)同型のシリコンゴムを挿入していたが、計算上は水として遮蔽計算されていた。それを、鉛の密度からバーチャル的にもし鉛であったらこれだけ下顎骨の線量が減量できていたという計算値を算出し、実際の治療に近い投与線量値を算出することが出来た。 また、VRについては、骨盤組織内照射の実験モデルを作成中である。上記のように、子宮および子宮内に臨床標的体積を作成し、周辺の直腸、膀胱などの隣接正常組織を作成し、そこに組織内刺入を行うためのアプリケータ針をバーチャルで刺入留置しようと考えている。しかし、技術的な問題で細かい点で遅れが出ている。さらに、コロナ感染下で直接会い一つの器具の細かい点について打ち合わせが出来なかったため、時間的な遅延の原因となっている。
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今後の研究の推進方策 |
コロナの感染状況によってかなり変更が加わる可能性があるが、もし、感染が収束し、皆で集まって研究する状況に戻るようであれば、リアルタイム線量計の実測実験を再開し、microMosfet線量計の臨床応用のための基礎実験を再開したいと考える。
また、同時の遮蔽材の実験も、今回J Contemp Brachytherapy に論文化した結果を発展させるために、今度は鉛以外のタングステンなどの素材も検討予定である。タングステン、タングステンとゴムの合材、タングステンと紙の合材の遮蔽効果を、従来より用いられてきた鉛と比較検討することで、臨床に応用出来て、かつ、患者さんに負担が少ない実用的な遮蔽材の開発に向けた実験を再開したいと考える。
VRにおいても、上記の問題点を解決し、小線源治療の適切な線量計を配置教育資材とする一方、リアルタイム線量計を直腸や尿道などにVR上で留置すれば同部位の線量が出てくるなどのアプリを開発し、上記実験に平行して臨床導入の前段階としての科学的実証を行うための資材にすることが出来ると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ感染下において必要な実験が全くできず、それ以外の実験系を考えて行なってきたが、どうしても全体で研究者が集まって行う照射実験などを行う必要がある。そこで、次年度に実験を行うための研究費を考えて使用額が生じた。
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