研究課題/領域番号 |
17K10503
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研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
松野 直徒 旭川医科大学, 医学部, 特任教授 (00231598)
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研究分担者 |
酒井 宏水 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (70318830)
小原 弘道 首都大学東京, 理工学研究科, 准教授 (80305424)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 1肝臓灌流保存 / 2心停止ドナー / 3人工赤血球含有灌流液 / 4虚血再灌流障害 |
研究実績の概要 |
心停止後60分のブタ肝臓を開いて開発した灌流保存装置により人工赤血球含有灌流保存液の有効性を評価した。さらにex vivo isolated reperfusion modelにより虚血再灌流障害の軽減についても評価した。人工赤血球含有灌流保存液を作製し低濃度(Hb3g/dl)と高濃度(Hb7g/dl)の比較、さらに長期間保存(2年間以上)した人工赤血球含有灌流保存液の有効性を評価した。結果灌流保存中は安定した流量圧を保つことが可能であった。また虚血再灌流においてASTの低下を認めた。この現象は2年以上保存された人工赤血球でも同様の効果があった。一方、移植を模擬して虚血再灌流障害を観察する事のできるex vivo isolated liver reperfusion modelを確立した。多くの角度から検討を加えており、後迷するように数多くの学会で発表し、論文化した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1心停止60分後のブタ肝臓を用いて人工赤血球含有灌流保存は市販の単純冷却保存液あるいは人工赤血球を含有していない灌流液に比較し4時間の保存において開閉脈圧の軽減、血清乳酸値の低下、肝機能(AST)低下の点で示すことができた。これをアジア移植学会で発表したところベストポスター賞を受賞、また、第1報として英文論文も採択された。
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今後の研究の推進方策 |
1人工赤血球含有灌流液の肝細胞機能の改善に寄与する事が判明した。今後は心停止ドナー肝の灌流保存において人工赤血球が有効であるというメカニズムを探索する。これを組織での炎症サイトカイン、電子顕微鏡所見で確認評価する。また長期間保存の人工赤血球が有効であったことから追加実験を行う。実験の進捗状況からみて心停止ドナー以外のマージナルグラフト(分割肝、脂肪肝など)でも応用することも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究計画は3年間の計画で進められている。人工赤血球含有灌流液の有効性は示されたがそのメカニズムについて免疫塗色、電顕、PCRなどにより検討する。
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