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2017 年度 実施状況報告書

肝幹細胞移植を用いた肝再生の支援を目指して―肝上皮性細胞とMuse細胞の比較検討

研究課題

研究課題/領域番号 17K10506
研究機関秋田大学

研究代表者

吉岡 政人  秋田大学, 医学部, 講師 (40375275)

研究分担者 山本 雄造  秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (70281730)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードLEC / Muse細胞 / 幹細胞 / 肝細胞移植 / 肝切除 / 低酸素耐性
研究実績の概要

我々はこれまでラット門脈血流遮断下において出現する肝幹細胞である肝上皮性細胞(liver epitherial cell: LEC)を見出し、分離・継続培養してきた。本細胞は分離時AFP陽性・Albumin陰性であるが、肝内移植後Albumin陽性細胞へと変化するため、大量肝切除後の肝不全予防としての肝幹細胞移植のモデルになると考えた。一方、幹細胞移植の問題点として腫瘍化が挙げられるが、間葉系培養細胞から腫瘍化を来さない新たな体性幹細胞(Muse細胞)が発見され、神経・肝細胞・脂肪細胞・骨細胞などへ変化することが認められている。このMuse細胞との同一性を比較するため、今回Muse細胞で発現している遺伝子の有無をLECで検討した。結果、間葉系マーカーであるCD29, CD105, CD90はいずれも発現しておらず、多能性マーカーであるNanog, Oct3/4, Sox2の発現も認めなかった。また、CD34, NG2, Eps, CD31, CD117, CD146, CD271, Tyrp1, Dctなどの各種マーカーも検索したが、いずれの発現も認めなかった。以上から、LECは幹細胞からすでに肝胆道系細胞へ分化が進んだ細胞であることが判った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度はLECとMuse細胞との比較を行った。結果、全く異なる性質の細胞であり、LECはすでに肝胆道系細胞に分化が進んだものであることが判った。幹細胞としての発現遺伝子の少なさから、LECは多能性幹細胞として用いることは困難であると考えられた。今後はLECの最大の特徴である、高度な低酸素耐性能保持の解明と、LECの移植に向けた取り組みを行っていく予定である。

今後の研究の推進方策

LECは高度の低酸素耐性能を持ち、2%O2, 5%CO2下でも生存可能である。同条件で18時間培養した場合、通常の肝細胞は10%以下まで減少するのに対し、LECのviabilityは100%を維持していた。この強力な低酸素耐性能は移植後の低酸素状態における移植細胞数保持という観点から、移植細胞に非常に適していると考えられる。この低酸素耐性能を惹起する遺伝子群の検索のため、平成30年度はマイクロアレイシステムを用いた網羅的遺伝子解析を行う予定である。

次年度使用額が生じた理由

LECの低酸素耐性能に関与する遺伝子群の解析として、マイクロアレイシステムによる網羅的遺伝子解析を行う予定である。マイクロアレイ研究にかかる費用が高いため、平成30年度分の科研費と合算した後、施行する予定である。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Domino Reconstruction of the Portal Vein Using the External Iliac Vein and an ePTFE Graft in Pancreatic Surgery.2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshioka M, Uchinami H, Watanabe G, Iida M, Nakagawa Y, Miyazawa H, Yoshida M, Yamamoto Y.
    • 雑誌名

      Journal of Gastrointestinal Surgery

      巻: 21 ページ: 1278-1286

    • DOI

      10.1007/s11605-017-3413-2

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] A pragmatic measure to cope with an evil effect upon harvesting the external iliac vein as a portal vein conduit in aggressive pancreatectomy.2017

    • 著者名/発表者名
      Yoshioka, M., Uchinami, H., Watanabe, G., Iida, M., Nakagawa, Y., Miyazawa, H., Yoshida, M., Yamamoto, Y.
    • 学会等名
      Joint congress of the 6th A-PHPBA & the 29th JSHBPS
    • 国際学会
  • [学会発表] Domino compensation of the external iliac vein using an ePTFE graft after its procurement for portal vein reconstruction in pancreatic surgery.2017

    • 著者名/発表者名
      Yamamoto, Y., Yoshioka, M., Uchinami, H., Watanabe, G., Iida, M., Nakagawa, Y., Miyazawa, H.
    • 学会等名
      12th Biennial E-AHPBA Congress
    • 国際学会
  • [学会発表] C-ペプチドインデックスと膵臓体積の測定を用いた術後耐糖能変化予測に関する検討2017

    • 著者名/発表者名
      渡邊 翼,吉岡政人,打波 宇,渡辺 剛,飯田正毅,中川康彦,八木史生,熊谷健太,大塚直彦,山本雄造
    • 学会等名
      第72回日本消化器外科学会総会
  • [学会発表] 肝内胆管癌リンパ節転移陽性患者の治療経過から鑑みたリンパ節郭清の意義2017

    • 著者名/発表者名
      打波 宇,渡辺 剛,吉岡政人,飯田正毅,中川康彦,山本雄造
    • 学会等名
      第72回日本消化器外科学会総会
  • [学会発表] 回腸間膜原発の神経内分泌腫瘍の1例2017

    • 著者名/発表者名
      八木史生,吉岡政人,中川康彦,熊谷健太,打波 宇,飯田正毅,渡辺 剛, 阿部ゆき,渡邊 翼,大塚直彦,横山直弘,南條 博,山本雄造
    • 学会等名
      第5回日本神経内分泌腫瘍研究会
  • [学会発表] 病理診断で明らかとなった胃癌胆管転移の1例2017

    • 著者名/発表者名
      大塚直彦,中川康彦,吉岡政人,打波 宇,山本雄造
    • 学会等名
      第53回日本胆道学会学術集会
  • [学会発表] 肺切除を繰り返し長期生存を得た膵癌術後孤立性肺転移の2例2017

    • 著者名/発表者名
      大塚直彦,吉岡政人,高橋香奈,打波 宇,渡辺 剛,渡邊 翼,熊谷健太,横山直弘,八木史生,中川康彦,阿部ゆき,飯田正毅,山本雄造
    • 学会等名
      第55回日本癌治療学会学術集会
  • [学会発表] 胆嚢内の浮遊塊として存在した胆嚢癌の1例2017

    • 著者名/発表者名
      熊谷健太,渡辺 剛,渡邊 翼,吉岡政人,打波 宇,山本雄造
    • 学会等名
      第55回日本癌治療学会学術集会
  • [学会発表] 術式別にみたGemcitabineによる胆膵癌術後補助療法時の血液毒性2017

    • 著者名/発表者名
      打波 宇,飯田正毅,渡辺 剛,吉岡政人,山本雄造
    • 学会等名
      第25回日本消化器関連学会週間
  • [学会発表] ALPPS手技における肝容量増大機構2017

    • 著者名/発表者名
      大塚直彦,吉岡政人,山本雄造
    • 学会等名
      第44回日本臓器保存生物医学会学術集会
  • [学会発表] 高度血管浸潤を伴う進行膵頭部癌に対し化学療法後にconversion切除を行った1例2017

    • 著者名/発表者名
      中川康彦,吉岡政人,大塚直彦,熊谷健太,八木史生,阿部ゆき,飯田正毅,打波 宇,山本雄造
    • 学会等名
      第79回日本臨床外科学会総会
  • [学会発表] モノポーラ式ボール電極を併用した肝切離手技2017

    • 著者名/発表者名
      打波 宇,飯田正毅,吉岡政人,中川康彦,八木史生,熊谷健太,山本雄造
    • 学会等名
      第79回日本臨床外科学会総会

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公開日: 2018-12-17  

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