研究課題
1.外科手術患者における術前内臓脂肪肥満の意義:対象は当科成人肝移植患者、肝癌・胆道癌・膵癌切除患者。内臓脂肪肥満は、術前単純CTを用い、第3腰椎レベルの内臓脂肪面積と皮下脂肪面積の比であるvisceral to subcutaneous adipose tissue area ratio (VSR)で評価し、カットオフ値は、当科生体肝移植ドナー657例の検討から、男女別に平均値-2SD(標準偏差)を求めた値を用いた。高VSR、すなわち内臓脂肪肥満は、肝移植、肝癌、胆道癌、膵癌のいずれにおいても、生存・再発ともに予後不良因子であることを明らかにした。さらに、低骨格筋量と内臓脂肪肥満を合併するサルコペニア肥満は、肝癌、膵癌において予後不良因子であることも初めて明らかにした。2.体組成に着目した新たな肝移植適応の樹立:我々はこれまで、肝移植術前低骨格筋量と筋肉の質低下が予後不良であることを報告しており、今回、術前内臓脂肪肥満も予後不良因子であることを明らかにした。そこで、これら3因子と肝移植後生存率の関係を検討したところ、綺麗に層別化され、以上項目数が増えるほど、移植後予後不良であった。この結果を踏まえ、「体組成3因子中、いずれか1因子以上が正常であること」を新たな移植適応とした。現時点で、この基準を遵守例の6ヶ月生存率は96%ときわめて良好である。3. サルコペニアが免疫能に及ぼす影響の検討:サルコペニアモデルとして、ラット後肢懸垂モデルを作成し、下肢筋重量の減少、筋力の低下を認め、サルコペニアモデルとしての妥当性を確認した。サルコペニアモデル群は対照群に比較し、有意に栄養パラメータの低下と免疫能の低下を認めた。
2: おおむね順調に進展している
臨床研究、基礎研究ともおおむね順調に進んでいる。
予定している研究計画通り、研究を進めていく。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
J Cachexia Sarcopenia Muscle
巻: 9 ページ: 246-254
Liver Cancer
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
Ann Surg
巻: 印刷中 ページ: 1~1
10.1097/SLA.0000000000002555