研究課題/領域番号 |
17K10511
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研究機関 | 聖路加国際大学 |
研究代表者 |
海道 利実 聖路加国際大学, 聖路加国際病院, 部長 (80314194)
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研究分担者 |
上本 伸二 京都大学, 医学研究科, 教授 (40252449)
加茂 直子 京都大学, 医学研究科, 助教 (50452355)
八木 真太郎 京都大学, 医学研究科, 講師 (60447969)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | サルコペニア / 体組成異常 / 生体肝移植 / 肝胆膵癌 / 免疫 |
研究実績の概要 |
1. 外科手術患者における栄養免疫連関の検討:肝移植患者、肝癌・胆道癌・膵癌切除患者を対象に、術前骨格筋量・筋肉の質・内臓脂肪肥満・筋力・歩行速度を評価し、栄養状態や免疫能、術後アウトカム(生存率、合併症など)との相関を検討した。その結果、世界で初めて術前低骨格筋量や筋肉の質低下、内臓脂肪肥満が、肝移植や肝胆膵癌術後の独立予後不良因子であることを報告した。また、肝胆膵癌においては、これらの体組成異常が再発の独立危険因子であることを初めて報告した。さらに、肝移植症例に対しリンパ球サブセット解析を行ったところ、術前サルコペニア症例は非サルコペニア症例に比べ、免疫能が低下していることを明らかにした。 2.体組成に基づく客観的肝移植適応の確立と有用性の検証:上述の研究結果を踏まえ、肝移植術前骨格筋量・筋肉の質・内臓脂肪肥満の体組成因子に基づく客観的肝移植適応を世界で初めて確立し、さらに周術期に積極的なリハビリ栄養介入を行うこととした。その結果、生体肝移植後1年生存率99%と世界でも類を見ない非常に素晴らしい成績を挙げるとこができた。 3.HMB(ロイシンの代謝産物)のサルコペニア抑制効果に関するランダム化比較試験:肝移植後におけるHMB製剤投与の有用性に関するパイロットランダム化比較試験を行い、HMB投与群は、非投与群に比べ、有意に筋肉量や握力の低下を抑制した。 4.生体肝移植ドナーの体組成とレシピエントの予後に関する検討:生体肝移植において若年ドナーの肝臓を移植した方がレシピエントの予後が良好であることは知られていたが、その理由は不明であった。そこで、生体肝移植ドナーの体組成因子とレシピエントの予後との関係を検討したところ、生体ドナーの体組成異常がレシピエント予後不良因子であることを世界で初めて報告した。 上記検討は、いずれもepoch-makingな研究結果である。
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