研究課題/領域番号 |
17K10514
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
丹黒 章 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (10197593)
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研究分担者 |
吉田 卓弘 徳島大学, 病院, 講師 (00380105)
西野 豪志 徳島大学, 病院, 助教 (80645193)
井上 聖也 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (50563813)
後藤 正和 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 助教 (00437659) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 食道癌 / 術前化学療法 / 治療効果予測 / 予後予測 / Tissue Array |
研究実績の概要 |
食道癌の術前化学療法である5-フルオロウラシル+シスプラチン併用療法にドセタキセルを併用することでより高い抗腫瘍効果が得られるようになり治療成績の向上が期待される。一方、多剤併用化学療法による高度な有害事象の頻度も高くなっており、重篤な有害事象を回避する必要がある。治療前の腫瘍部分の生検組織を用いてタンパク発現と遺伝子発現について解析を行った。その結果、EGFR発現陰性は2.5%と少数例であり、陰性例に対しては有意に抗腫瘍効果は低かった。HER-2高発現を示す9.8%では高い抗腫瘍効果が認められた。EGFR(+)/HER2(+)例は,化学療法の効果及び予後良好となるが、EGFR(-)/HER2(-)例は,化学療法の効果に乏しく最も予後不良であった。また、単変量解析では、mTOR,AKT-1の高発現が効果不良因子であり、mTOR,p70S6K高発現が予後不良因子として同定された。現在、HER family(EGFR, HER-2)とその下流にあるmTOR, AKT-1,PIK3CA, 4EBP-1, p70S6Kなどを標的として、多変量解析によるオッズ比を用いて抗腫瘍効果ならびに予後予測モデルを作成している。治療前の生検組織におけるTissue Arrayに基づく個別治療につながることが期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
治療前の腫瘍部分の生検組織を用いた遺伝子発現解析についてはPI3K/AKTシグナル伝達経路に関わる因子について予定されたタンパク発現と遺伝子発現解析を終了した。臨床データとして治療前の原発巣ならびにリンパ節の転移個数、RECISTに従ってがん化学療法による抗腫瘍効果、CTCAEver.4.0によるグレード分類等を見直しデータ化した。これにより、個別治療に必要な抗腫瘍効果ならびに予後予測モデルの解析とそのモデル作成を実施する準備ができた。治療前の血清を用いてサイトカインの遺伝子多型解析では、化学療法でグレード3以上の重篤な副作用の出現した群とそうでない群に分別し、化学療法による重篤な有害事象の回避のための予測因子同定を目標としている。
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今後の研究の推進方策 |
治療効果予測ならびに予後予測因子について、標的因子群について単変量ならびに多変量解析を行い抽出された因子についてオッズ比を得ており、今後は、抗腫瘍効果ならびに予後予測モデルを作成することとしている。サイトカインの遺伝子多型解析については、重篤化の回避が優先される粘膜炎に関与する免疫制御に焦点を当てて特定の領域について解析を行うこととした。
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次年度使用額が生じた理由 |
遺伝子多型解析の標的とする遺伝子ならびに解析領域の見直しを必要としたため、実験の進行が若干遅れた。論文作成のタイムスケジュールに遅れが生じた。次年度では凍結保存された血清を用いてサイトカインの遺伝子多型解析を予定しており、論文作成も急いで行う予定である。追加実験として、凍結保存された血清を用いてサイトカインの遺伝子多型解析を予定している。英文雑誌に論文投稿を準備中であるが、発表、投稿費用に充当する予定である。
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