研究実績の概要 |
1型糖尿病に対する膵島移植成績向上を目指し、膵島分離・移植の過程で、活性酸素産生抑制作用のある希少糖 D-アロースを諸種の方法で使用し、有効性が 認められた手法を多段階に使用する事でこの課題を解消することを目的として研究を進めている。 研究代表者らが科学研究費(基盤研究C 平成23年度)で行った実験で、D-アロースを添加したラ ット膵島培養(overnight culture)により膵島のインスリン 分泌能が有意に改善され、1型糖尿病ヌードマウスへの膵島移植による糖尿病治癒率が有意に高値を示した(72.7% vs 9.1% p< 0 . 0 1 )。 膵島中の酸化ストレスの指標である Malondialdehyde ( M D A ) 値から、 D-アロース の持つ抗酸化作用がその機序として示唆された(0.49±0.42 vs 11.3±5.5 nmol/mg protein, p<0.01)(J Hepatobiliary Pancreat Sci, 23(1), 37-, 2016)。 次いで、レシピエントとなるSTZ誘導糖尿病BALB/cマウスの尾静脈より移植48時間前、24時間前、直前に D-アロースを投与する投与群と非投与群に分け、 同系マウスより分離した膵島15IEQ/gを腎被膜下に移植し、移植後21日目の平均血糖値は投与群、非投与群で各々101mg/dL, 267mg/dLであり、血糖正常化率は 各々100% (9/9), 45% (5/11)と、いずれも有意差を認めた。現在、有効性の機序について研究を進めている。8-OHdGによる移植膵島染色 など行っているが、依然機序解明に至っていない。間接的ではあるが、apoptosisの評価を行なっている。
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