研究課題
Graft ICFAによる抗体関連拒絶の早期診断、治療及び移植臓器生着率の向上に向け、下記のごとく【目的】を設定し研究を進めている。【目的1】臨床診断、s-DSA、g-DSA、g-DSA-C3dの相関性【目的2】g-DSAと病理学的変化の相関性:g-DSAの値とBanff2013分類に基づいた病理学的変化との相関性を検討【目的3】移植前s-DSA陽性症例でのg-DSAの変動評価:治療介入必要因子の検討上記1-3は2017年度に主に実施し、継続検討している。また以下について検討を進めた。【目的4】de novo g-DSA発生のリスク因子;血清中のDSA MFI値とde novo g-DSA発生については強い相関関係は認めず、血清中のDSA MFI値が低いものや検出されない場合でも、Graft ICFAにより正確にg-DSAを早期に検出することが可能であった。一方、維持免疫抑制剤は通常カルシニューリン阻害剤、ステロイド剤、代謝拮抗剤、mTOR阻害剤の3-4剤で管理することが多いが、カルシニューリン阻害剤の血中濃度、代謝拮抗剤の種類、mTOR阻害剤の有り、無しが、またHLAミスマッチ数、ローカスがde novo g-DSA発生に関係していることが明らかとなった。【目的5】組織障害性の高いg-DSAの特徴の検討:現在詳細に検討中である。【目的6】g-DSAと移植後移植臓器生存率の検討:短期での移植腎機能の変動についてg-DSA indexと逆相関を示し、悪化を示すことが明らかとなった。【目的7】DSAによる抗体関連拒絶に対する治療後のg-DSA検討:慢性抗体関連拒絶について、治療効果は治療前のg-DSA indexが低いほど、良好に治療反応を示すことが明らかとなった。さらに2019年度にこれらを詳細に解析する。
2: おおむね順調に進展している
研究計画書に記載の達成目標に準じて進んでおり、上記のように評価させていただいた。また、抗A/B血液型抗体、マウスでのgraft ICFA法も確立され研究領域の拡大が期待される。
上記で得られた結果を各種統計解析法を用いさらに詳細に解析し検討し、主要学会、論文へ発表していく予定である。現在のビーズでは補体解析のための抗体を反応させると非特異反応が多く発生するため、ビーズに結合している抗HLA抗体をFab化した上で非特異反応を抑制し、補体の関与について解析を進める予定である。
すべて 2019 2018
すべて 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件) 図書 (1件)