研究課題
免疫抑制剤の発展は臓器移植において主に細胞性拒絶の制御を可能とし、移植臓器(グラフト)の生着期間延長をもたらした。しかし抗体関連拒絶(AMR)については現在でも制御は不十分である。現在その診断方法として、血清中の抗ドナー特異的HLA抗体(DSA)測定と生検による病理診断が主であるが、他病変の混在等の原因により早期診断が困難である場合が多く認められる。今回我々は、血清中のDSA測定に用いるimmunocomplex capture fluorescence analysis(ICFA)法を移植臓器組織中DSA測定に応用し、移植臓器組織と反応したDSAの同定を行なった(グラフトICFA法)。結果、病理学的AMR診断において本手法を用い、100% 感度 (n=12/12), 92.9% 特異度 (n=26/28)の高精度で診断可能であり、その結果から、主な研究成果として、本手法を用いることで1.正診率の向上の寄与、2.早期発見への貢献、3.複数存在する場合に問題となる抗体の同定、4.治療時の改善指標となる、5.治療介入効果予想が可能となった。特に重要な結果として、グラフトICFA法を用いることでAMRの兆候はあるが血清中DSA陰性の患者において、グラフトDSA陽性(移植臓器組織中DSA存在=AMR)の患者を識別可能であること、また治療可能な慢性活動性AMRを判定することが可能である。これらの成果からグラフトICFA法を積極的に用いることで臓器移植長期生着に大きく貢献することが期待される。
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