研究課題/領域番号 |
17K10522
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研究機関 | 自治医科大学 |
研究代表者 |
眞田 幸弘 自治医科大学, 医学部, 講師 (60406113)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | テロメア / 生体肝移植 / 組織Q-FISH法 / グラフト肝年齢 / 急性拒絶反応 |
研究実績の概要 |
本研究は、小児肝移植後レシピエントの定期肝生検の肝組織を用いて、肝細胞のテロメア長を組織Q-FISH法によって測定し、テロメア長を“グラフト臓器年齢”や“グラフト臓器寿命”の指標にできるかを検討することが目的である。そのためには、まずコントロールが必要である。非肝疾患の剖検例として0-5才の10例の肝臓と、肝移植時にグラフトとして使用せずに残ったドナー肝臓(27-47才)の10例をコントロールとした。現在まで、0-5才10例、27-47才6例の組織Q-FISH法を行い、肝細胞のテロメア長を測定した。また、肝疾患として自己肝温存の胆道閉鎖症10例の肝細胞のテロメア長も参考にすることにし、現在まで、5例に組織Q-FISH法を行い、肝細胞のテロメア長を測定した。今後もコントロールの肝細胞のテロメア長を測定し、正常肝のテロメア長の加齢曲線を明らかにしていく予定である。 本年度は生体肝移植後症例の肝組織の組織Q-FISH法を開始した。現在まで移植後年度別(移植時、拒絶反応時、2年or 5年時のペア)に採取された肝生検の肝組織を用いて、肝細胞のテロメア長を組織Q-FISH法によって6例で測定した。この結果をもとに、小児生体肝移植後のテロメア長によるグラフト肝年齢を明らかにしていく予定である。 最終的には、ドナー年齢と移植後年度別の測定値の変化を解析することによって、グラフト肝のテロメア長の短縮率を明らかにする。さらに、同一症例において経時的にグラフト肝のテロメア長を測定し、テロメア長の加齢曲線を明らかにする。また、術後免疫抑制状態や術後合併症がグラフト肝のテロメア長に与える影響に関しても明らかにしていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
生体肝移植後症例の経時的テロメア長の測定は開始したが結果の解析が進んでいない。COVID-19感染症の影響(緊急事態宣言)で東京の研究所に出張することができない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は正常肝のテロメア長の加齢曲線を明らかにする予定である。また、生体肝移植後症例のテロメア長の測定を継続し、症例を蓄積し、小児生体肝移植後のテロメア長によるグラフト肝年齢の解明に迫りたいと考えている。 COVID-19感染症の影響(緊急事態宣言)で東京の研究所に出張することができない期間が長期化する場合は、代替する手法で研究を進める必要があるかもしれない。
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次年度使用額が生じた理由 |
現在生体肝移植後症例のテロメア長の測定は進んでいるが、解析は実施できていないため、研究がやや遅れている。研究がやや遅れているため、次年度使用額が生じてしまった。次年度は生体肝移植後症例のテロメア長の測定を継続し、解析を開始したいと考えている。そのため、次年度分と合わせた繰り越しの使用額は、組織Q-FISH法にかかる物品費、人件費に使用する予定であり、次年度に計画通りに研究を遂行すれば使用可能である。 なお、COVID-19感染症の影響(緊急事態宣言)で東京の研究所に出張することができない期間が長期化する場合は、代替する手法で研究を進める必要があり、その費用に充てる予定である。
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