現在まで移植肝のテロメア長の短縮率や経時的変化を明らかにした報告は国内外において皆無で、小児肝移植後レシピエントにおける移植肝のテロメア長の短縮率や加齢曲線を明らかにすることは、きわめて意義深い。また、テロメアは細胞生物学的な側面より肝予備能を評価することができるため、テロメア長は移植肝の臓器年齢や臓器寿命の指標になる可能性があり、小児移植医療に大きな福音をもたらすと思われる。 本研究では拒絶反応症例と非拒絶反応症例のいずれにおいてもテロメア長の経時的変化に一定の傾向を認めることができなかったが、今後も症例を蓄積し、小児生体肝移植後のテロメア長による移植肝年齢や寿命の解明に迫りたいと考えている。
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