眼球損傷等で脳幹反射が評価できない場合は、法的脳死判定ができず、脳死下臓器提供の意思が反映されない。このような場合でも脳死判定を可能とすることが必要である。聴性脳幹反応(ABR)に注目し、脳死判定の脳幹反射を補完できるかを検討した。ABRは単独では偽陽性(ABRにて脳幹機能が停止していると判断されても、脳死でない場合)が一部存在した。ABRの脳幹反射の補完性を示唆したが、更なる検討が必要と結論された。 電気生理学的検査で脳幹反射の代替となり得ることが可能か、そして眼球損傷、聴覚障害、頸髄損傷など様々な理由で脳幹反射が評価できない場合でも、脳死判定が可能となるかを検討した。本研究の成果は本邦の脳死判定基準の補完の可能性を示唆したもので、眼球損傷、聴覚障害、頸髄損傷などが存在しても本人の生前意思や家族の脳死下臓器提供への希望を実現し、更なる検討は必要であるが脳死下臓器提供と提供数の大幅な増加に寄与し、脳死下臓器提供数の増加に寄与するものである。
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