研究課題
本申請における最終年度であった。本研究は、(A) 配偶子卵管内移植法 (GIFT法)によるヒトの体重に見合った“ヒト型糖尿病ミニブタ”の作出、(B) ガラス化凍結にて保存可能な膵島シートの作製、(C) 糖尿病ブタへ鏡視下手術による膵島シートの移植を行い、移植後の膵島シートの機能の検証、を目的であり、本年度はA,Bにおける総括と、B, Cに対し、時間を投じた。ガラス化凍結にて保存可能な膵島シートの作製: ブタ膵島のシートは作製可能で、Pancreatic and duodenal homeobox 1 (Pdx-1) -Venus transgenic (Tg)ブタから膵島分離を行い、作成したシートはVenusによる発光が確認できている。ブタ膵島シートに対する組織学的評価ではNeuroD、Pdx-1、インシュリン、C-peptide、グルカゴンの発現は確認できたが、マウスでの結果と同様、ブタの膵島と比較ではそれらの発現は低下していた。また、ブタ膵島シートの糖尿病化したICR SCIDマウスへの移植では、膵島シートは生体内で安定的に生着し、移植部位で緑色発光をしていたが、高血糖の改善には至らなかった。我々はマウス膵島も安定的に凍結保存、そしてその凍結保存した膵島が機能することも確認し(Horm Metab Res. 2016 Aug;48(8):540-9. ) 、本手法を膵島シートへ応用する予定であったが、本結果を得たため膵島シートの凍結保存は断念した。(C) 糖尿病ブタへ鏡視下手術による膵島シートの移植を行い、移植後の膵島シートの機能の検証: 同時に進行していた腹腔鏡手術を行うための麻酔濃度、体位、ポート位置、至適腹腔内圧、必要なデバイスの検証を行っていたが、ブタに対する鏡視下手術ではヒトの鏡視下における中難易度手術が行える状態まで到達した。
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PLoS One
巻: 14 ページ: e0216254
10.1371/journal.pone.0216254.