研究課題/領域番号 |
17K10528
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研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
星川 康 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (90333814)
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研究分担者 |
須田 隆 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00340232)
松田 安史 東北大学, 大学病院, 特任助手 (00455833)
栃井 大輔 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (10793416)
栃井 祥子 藤田保健衛生大学, 医学部, 講師 (50793428)
千田 雅之 獨協医科大学, 医学部, 教授 (70333812)
野田 雅史 東北大学, 大学病院, 講師 (70400356)
岡田 克典 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (90323104)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Nrf2欠損ラット / 炎症性サイトカイン / Nrf2標的遺伝子 / 酸化ストレス / 肺障害 |
研究実績の概要 |
ラット同系左片肺移植モデルにおいて、Nrf2 KOラットをドナーとして左片肺移植した群(KO群)とWTラットをドナーとした群(WT群)と比較した結果、KO群ではWT群に比し、移植2時間後の移植肺コンプライアンスは有意に不良となり、PaO2/FiO2 ratio(P/F ratio)、alveolar-arterial oxygen gradient (AaDO2) も不良となる傾向があった。移植 24時間後には、WT群におけるグラフト肺wet to dry weight ratio (W/D)、肺コンプライアンス、P/F ratio、AaDO2は改善傾向を示すものの、KO群では改善が遅れる傾向があり、W/D、肺コンプライアンス、P/F ratio、AaDO2はいずれもWT群に比しKO群で有意に不良であった。肺移植2時間後のグラフト肺の病理組織学的所見 (肺胞壁肥厚、出血、肺水腫、好中球浸潤、perivascular cuffing)はNrf2 KOにより明らかな影響を受けなかったが、移植24時間後までのそれらの回復はWT群に比しKO群で遅れ、肺水腫および好中球浸潤は、WT群に比しKO群で有意にその程度が強いことが確認された。Nrf2 KOは、肺移植24時間後の肺組織Nrf2 標的遺伝子NAD(P)H quinone oxidoreductase 1(NQO1)発現を有意に低下させ、肺移植2時間後のproinflammatory cytokine (interleukin-6 [IL-6]、interleukin-1β [IL-1β]、tumor necrosis factor α [TNFα])遺伝子と24時間後のTNFα遺伝子発現を有意に亢進させ、肺胞壁アポトーシス細胞割合を増加させたが、酸化ストレス蓄積には影響を及ぼさないことを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ラットの左片肺移植モデルを用いた研究は概ね順調に進捗しているが、ヒト検体を用いた多施設における研究の手続きが遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
東北大学との共同研究のラットを用いた実験は、これめで通りコミュニケーションを密にして進めてゆく。並行して最終段階まできた動物実験データの論文の執筆と投稿作業を進める。ヒト検体を用いた研究の手続きについて、日本呼吸器外科学会会期中にmeetingを行う方針である。
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次年度使用額が生じた理由 |
ヒト検体を用いた研究の遅れのため次年度使用額が生じた。今年度はラット動物実験の仕上げと論文投稿に加え、ヒト検体を用いた研究の遂行に平成29年度分を合わせて使用してゆく予定である。
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