研究課題
Fischerラット同系左片肺移植モデルにおいて、Nrf2活性化剤 oltiprazのレシピエントラットへの前投与(移植24時間前 500mg/kg 胃内投与)の効果を再検証した。移植2および24時間後に下大静脈より採取した血液サンプルを用いて血中抗酸化力(biological antioxidant potential:BAP)と血中酸化度(reactive oxygen metabolites-derived compounds:dROMs)を測定した。oltipraz前投与は、移植2時間後の血中抗酸化力、酸化度には影響を及ぼさなかったが、移植24時間後の血中抗酸化力を上昇させ、酸化度を低下させた。グラフト肺組織中のNrf2標的遺伝子、NAD(P)H quinone oxidoreductase 1(NQO1)、glutamate-cysteine ligase modifier subunit(GCLM)、hemeoxygenase-1(HO-1)の発現は、移植2時間後ではvehicle群とoltipraz群とで差異を認めなかったが、24時間後ではvehicle群と比較し、oltipraz群で増強した。肺酸素化は移植2時間後ではvehicle群とoltipraz群とで差異を認めなかったが、24時間後ではvehicle群と比較し、oltipraz群で良好であった。H-E染色によるグラフト肺病理学的所見を再検討したが両群で差異を認めず、TUNEL陽性アポトーシス細胞の肺胞壁構成細胞における比率のみ移植24時間後にoltipraz群で低値であった。Oltipraz前投与は、肺移植後2時間の呼吸不全の重症度を改善させないが、24時間後には、グラフト肺Nrf2標的遺伝子発現亢進、血中抗酸化度上昇、血中酸化度低下、肺胞壁構成細胞のアポトーシス抑制を招来し、肺酸素化を改善させる。
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