研究課題
日本および世界の乳癌において、その約8割は女性ホルモン依存性に進展するエストロゲン受容体 (estrogen receptor:ER) 陽性乳癌である。乳癌には手術などの初回治療後、5年以降に再発(晩期再発)する症例が存在する。晩期再発をきたす乳癌のほとんどはER陽性乳癌であり、ER陽性乳癌の再発症例の約4割は晩期に再発する。長期(10年間)の術後内分泌療法により晩期再発が抑制されることが、最近の大規模臨床試験により検証されている。晩期再発乳癌は増殖が遅く培養細胞が樹立されていないため基礎研究がなされておらず、晩期再発のメカニズムは未だ解明されていない。米国の臨床試験グループ(ALLIANCE)は、ER陽性乳癌の晩期再発のメカニズムの解明を乳癌のUnmet Needsの第1位にランクしている。日本人女性で急増しているER陽性乳癌において、晩期再発乳癌の予後予測因子の同定が急務である。私たちは、これまで、晩期再発乳癌の臨床病理学的特徴を明らかにしてきた。これまで晩期再発乳癌と10年以上無再発乳癌の原発巣(乳癌組織)を用いた遺伝子発現プロファイル解析を行い、発現に差のある遺伝子を主成分分析により抽出した。①対象:2000年1月から2004年12月に治療を開始したER陽性HER2陰性早期乳癌のうち、晩期再発症例と10年以上無再発症例。②方法:ホルマリン固定パラフィン包埋乳癌組織よりRNAを抽出して、mRNAマイクロアレイ(GeneChip Human Gene 2.0 ST Array)を用いて遺伝子発現解析を行い、遺伝子発現プロファイルを比較した。晩期再発症例と無再発症例とで発現に差のある遺伝子を抽出した。
すべて 2019
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Oncol Lett
巻: 17 ページ: 2177-2186
10.3892/ol.2018.9853