研究課題/領域番号 |
17K10534
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
藤井 孝明 群馬大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (40507331)
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研究分担者 |
高田 考大 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (00781311)
矢島 玲奈 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10431701)
久保 憲生 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10464744)
黒住 献 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (40768735) [辞退]
尾林 紗弥香 群馬大学, 医学部附属病院, 助教 (10648471)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | VEGF / PDGF / エリブリン / PD-L1 / FDG |
研究実績の概要 |
mTOR阻害剤のRapamycin(Rapa)がPDGF/VEGF経路を抑制し、乳癌細胞株MCF-7のVEGF発現抑制による直接的な抗腫瘍効果を報告している。一方でこのPDGF/VEGF経路を有さない大腸癌細胞株HT-29ではRapamycinの抗腫瘍効果が認められないことを明らかにしている。また血管新生に関与するPDGF-AA/VEGF機構が、血管新生を誘導するエリブリンの作用機序に関与する可能性があり、乳癌に対するエリブリンによりVEGF発現を確認している。我々はこれまで、乳癌領域におけるFDG-PETの有用性を報告してきており、FDG集積はリンパ球浸潤と関連があることを明らかにし、VEGF発現との関与について検討している。予備的な検討として、ILsの発現状況とFDG集積との関連性, 臨床病理学的因子との関連について検討を行い、TILs発現とFDG集積の関連検討にてTILs高発現群では, 低発現群と比較しSUV maxが有意に高いことを確認している。またTILs高発現では予後不良とされる臨床病理学的因子と有意に関連があることを確認している。VEGFとの関連については、VEGF発現が免疫チェックポイント関連因子であるPD-1、PD-L1の発現やCD8などとも関連する可能性があることを見出しており、TILs、FDG集積の意義、免疫応答のメカニズムの本質に迫る可能性があると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳癌細胞株、大腸癌細胞株におけるRapamycinはMCF-7のVEGF発現抑制を確認できており、現在投稿中である。また同時並行して手術検体での検討、またエリブリン投与による血管新生促進機構の検討も同時並行して進行しており、さらにFDG集積のリンパ球浸潤と関連や、VEGF発現との関与について検討も予備的な結果が得られており、おおむね順調に進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
癌細胞と周囲間質には相互作用が存在し、近年癌関連線維芽細胞(CAF)が癌の進展、増殖、浸潤に関与することが報告されてきている。CAFにおけるPDGF/VEGF, HGF経路について検討し、TGF-βの作用にfunction switchにおけるTGF-βの役割を明らかにする。特に、PDGF-AA、TGF-βはmTOR阻害剤、エリブリンのバイオマーカーとして有用である可能性があり、mTOR阻害剤、エリブリンの効果におけるPDGF-AA/VEGF機構、またそれに対するTGF-βの作用を検討する。またVEGFの免疫チェックポイント関連因子との関連について予備的結果が得られており、今後PDGF-AA/VEGF機構、またそれに対するTGF-βの作用との関わりを明らかにしていく。
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