研究課題/領域番号 |
17K10539
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
長田 拓哉 富山大学, 附属病院, 講師 (40303242)
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研究分担者 |
小澤 龍彦 富山大学, 大学院医学薬学研究部(医学), 助教 (10432105)
奥村 知之 富山大学, 附属病院, 講師 (10533523)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ヒバ精油 / ツヨプセン / PKM2 / アポトーシス |
研究実績の概要 |
癌治療において漢方薬やアロマ精油の多くは、免疫力を増強させる目的や、鎮静効果、また抗癌剤による副作用を軽減させる目的で、多くの癌患者に使用されている。抗癌剤とこれらの製剤を併用する事により、治療成績が改善したとする報告も見られており、癌に対する集学的治療の一員として期待されている。我々はこれまでに、副作用が少なくて癌に効く漢方薬やアロマオイル、塗り薬などの開発を目的に研究を進めてきた。そして能登や飛騨高山、富山県などの山麓に自生するヒバ(アスナロ、アテ)に強い抗腫瘍効果が見られる事を見出した。 乳癌、食道癌、胃癌、大腸癌細胞株にヒバ精油を加えて反応させると、各癌細胞にアポトーシスが誘導された。またヒバ精油と癌細胞を離して反応させると、蒸散したヒバ精油成分が近傍の癌細胞に細胞死を誘導することを明らかにした。ヌードマウスを用いた胃癌増殖モデルおよび腹膜播種転移モデルを作成し、ヒバ精油の香りを4週間吸入させた後でマウスを儀死させ、腫瘍面積および腹膜播種転移個数について比較検討した所、ヒバの香りを吸入したマウスでは、コントロールと比較して腫瘍面積は縮小し、腹膜播種転移個数は有意に減少した。これまでに各種カラムを用いてヒバ精油の抗腫瘍成分を分画し、ガスクロマトグラフィーにより抗腫瘍因子の一つとしてツヨプセンを同定した。ツヨプセンは分子量の小さなセスキテルペンの一種であり、ツヨプセンを胃癌細胞と反応させることにより、癌の増殖を抑制した。さらにツヨプセンを反応させた胃癌細胞より細胞質分画を抽出し、DARTS法を用いてツヨプセンの結合タンパクを探索することにより、PKM2を同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳癌の増殖、転移を抑制する新規免疫漢方治療を確立する目的で、ユキノシタ、山椒、ヒノキ、スギ、アスナロ、シダーウッド、フランキンセンス、など、様々な生薬、アロマ精油、漢方薬を乳癌細胞と反応させて、その増殖抑制効果を評価した。その結果、ヒバ精油(アスナロ)に強い高腫瘍効果が存在することを明らかにした。さらにヒバ精油の蒸散成分中に抗腫瘍因子が存在することをin vivo、in vitroで明らかにした。各種カラム、およびガスクロマトグラフィーを用いてヒバ精油中に存在する抗腫瘍因子の解析を行い、ツヨプセンを同定した。これまでにツヨプセンの抗腫瘍メカニズムを明らかにした報告はなく、新規の創薬につながる可能性が示唆された。現在、ツヨプセンによる抗腫瘍メカニズムの解明を行っており、ツヨプセンが結合するタンパクとしてPKM2を同定した。
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今後の研究の推進方策 |
ツヨプセンによる抗腫瘍メカニズムを明らかにする。現在、ツヨプセンの結合タンパクとしてPKM2を同定しており、今後さらに詳細なメカニズムを明らかにしていく予定である。また、ヒバ精油を用いた抗腫瘍マスクなどの製品開発を行うとともに、ヒトを対象とした臨床研究の準備を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品購入を次年度に繰り越した。 学会参加を自費で行なった。
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