研究実績の概要 |
臨床甲状腺癌組織を用いた網羅的遺伝子発現解析の結果、転写因子PATZ1に着目し、下記の結果を得た。 ①ヒト臨床検体を用いた免疫組織染色での解析で、正常濾胞上皮細胞と過形成では、全例でPATZ1は核に発現していたが、甲状腺癌の分化度が低下すると、核での発現頻度は有意に減少していた。②不死化甲状腺濾胞上皮細胞(Nthy-ori-3.1細胞)でPATZ1をノックダウンすると、細胞の増殖、遊走、浸潤能の増加が認められた。③Nthy-ori-3.1でPATZ1をノックダウンすると、細胞の浸潤や遊走に関与する、uPAやMMPsの発現と活性の上昇が認められた。 ④もともとPATZ1発現の少ない甲状腺未分化癌細胞株(ACT-1、FRO)で、PATZ1を強制発現させると、増殖、遊走、浸潤能の低下と、uPAやMMPsの低下が認められた。 ⑤臨床検体での免疫組織染色での解析で、PATZ1とuPA、MMPsの発現に有意な逆相関が認められた。 上記結果をOncotarget誌に論文発表した(Iesato A, Ito K, et al., PATZ1 knockdown enhances malignant phenotype in thyroid epithelial follicular cells and thyroid cancer cells. Oncotarget, 8:82754-82772, 2017 )。
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