研究課題/領域番号 |
17K10543
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
小林 大介 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (30635595)
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研究分担者 |
後藤 資実 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00621632)
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ダンピング症候群 |
研究実績の概要 |
胃切除後の患者の持続血糖を測定するために、アボットジャパン株式会社のFreeStyleリブレPro(承認番号:22800BZX00227000)を購入した。従来の持続血糖測定システムと比較すると、皮下センサーを装着することは共通であるが、指先穿刺の簡易血糖測定によるキャリブレーションは必要ないこと、また最長14日間継続して使用することが可能であることが大きな利点である。さらに、読取機の価格と皮下センサーの単価は従来機に比較して安価である。FreeStyleリブレProを使用することで、実際の血糖測定なしに持続血糖モニタリングが可能となり、外来通院の胃切除後の多くの患者を対象とすることができることになる。また、一人当たりの取得データが長期となるので、血糖値の異常変動をモニタリングするには合目的である。以上の理由から胃切除後の血糖値の推移、低血糖の発生頻度を包括的に検証するという本研究には新システムを使用すべきであると結論付けた。 FreeStyleリブレProを用いて実際にHealthy volunteerで持続血糖測定を行い、研究使用に際しての実行可能性と従来の持続血糖測定システムとの互換性の検討を試みた。当初皮下センサーの脱落などにより欠測値となってしまうことを経験したが、慣れることで安定した持続血糖測定が可能であった。また、測定期間中に日内の血糖変動がないなどの明らかな無効値が存在して測定期間の短縮となってしまうような場合も経験し、このような場合は可能であれば指先穿刺の簡易血糖測定との照合も方法の一つであることが推測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
持続血糖測定機としてFreeStyleリブレProを使用して、Healthy volunteerで血糖測定を行い、持続血糖の日内変動を把握する感触が得られた。当初、機器の脱落や測定値不良などを経験し、安定した使用方法を習得するのに時間を要したため遅れが生じている。胃癌に対する胃切除術を施行された患者を対象として、持続血糖値測定を行い、後期ダンピング症候群や無症候性低血糖の発症を調査する前向き観察研究の実施計画書の作成段階である。
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今後の研究の推進方策 |
胃切除術を施行された患者を対象に後期ダンピング症候群や無症候性低血糖の発症を調査する前向き観察研究を当科および、当科の関連病院3施設で計画する。適格基準として、経口摂取可能で、自覚症状の訴えが自己にて十分可能であり、持続血糖測定を行うにあたりその目的と方法について十分な説明を受けて同意が得られた患者とする。一人当たり最長14日間の持続血糖測定が可能であり、その間、早期、後期ダンピング症候群やその他のイベント発生の有無についてQOL質問票であるPGSAS-45を用いて評価する。持続血糖測定期間中、経口摂取状況について、総カロリー、摂取した食餌内容の成分バランスについても記録し検証する。また各施設が保有する共通の機器を用いて、体組成測定を合わせて施行して、ダンピング症状、および、持続血糖測定結果との関連性を検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
多施設共同の観察研究を計画していたが、現在実施計画書の作成段階であり次年度使用が生じた。2019年度以降、多施設共同試験を行うために持続血糖測定機の購入が必要である。また、資料となる論文のコピーや臨床試験作成ための資料作成などの印刷費を必要とする。またPGSAS-45のQOLデータは、当科とは別のデータセンターで管理することとなり、そのため郵送費や人件費が必要となる。
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