• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2018 年度 実施状況報告書

IL-17による腫瘍間質細胞を介した乳癌肺転移促進機構の解明と治療モデルの開発

研究課題

研究課題/領域番号 17K10544
研究機関三重大学

研究代表者

齋藤 佳菜子  三重大学, 医学部附属病院, 助教 (90447871)

研究分担者 加藤 琢磨  三重大学, 医学系研究科, 准教授 (60224515)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワードIL-17A / 転移 / 腫瘍関連マクロファージ
研究実績の概要

我々はマウス乳癌細胞4T1にLuciferaseを挿入した腫瘍株を野生型およびIL-17A欠損(KO)マウス乳腺内に担癌すると、腫瘍径は両群で差がないにも関わらず、IL-17KOマウスでは野生型に比べて肺転移が有意に抑制されることを見出した。次に4T1細胞を静脈内投与したところ野生型とIL-17KOマウスで肺転移に差は認めなかった。そこで、4T1/Luciferase細胞を担癌したマウスの血中の循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell: CTC)をLuciferaseを指標に経時的に測定したところ、CTCはIL-17KOマウス血中と比較して、野生型マウスの血中で多く検出された。この結果よりIL-17Aは転移形成の前半の段階、すなわち4T1細胞が腫瘍局所から血中に入るまでのステップを促進することで肺転移を促進することが示唆された。
転移の形成には腫瘍細胞自身の性質に加え、腫瘍関連マクロファージ(Tumor associated macrophage: TAM)や癌関連線維芽細胞(Cancer associated fibroblast: CAF)といった間質細胞の働きが重要である。そこで、これらの間質細胞に対するIL-17Aの影響を解析したところ、両群でCAFに有意な差はなかったが、TAM(CD45+Ly6C-F4/80+細胞)は野生型に比べてIL-17KOマウスで有意に減少しており、かつM2型マクロファージ(CD206-high, MHC class II-low)が有意に減っていた。この結果より、IL-17Aは腫瘍組織において単球からM2型マクロファージへの分化を促進すること、さらに分化したM2型マクロファージを介して肺転移を促進している可能性が示唆された。現在、両群腫瘍に浸潤するマクロファージを分離精製し、その遺伝子発現および機能解析を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

IL-17Aによるマクロファージの質的変化、機能変化を調べるために、マクロファージの機能解析を行っているが、一部分の遺伝子発現解析では不十分であったため、両群マクロファージの網羅的遺伝子解析を計画している。
また、IL-17AによるTAMを介した肺転移促進作用を直接証明するために、in vivoでIL-17KOマウスに担癌した腫瘍に、IL-17の作用を受けたマクロファージを移入することで肺転移を促進するか検証中であるが、マクロファージの精製を含めた実験条件の検討で時間がかかっている。

今後の研究の推進方策

IL-17Aによるマクロファージの機能変化(腫瘍の浸潤能に与える影響、血管新生促進作用、血管内流入の促進作用など)をin vitroまたはin vivoで明らかにする。IL-17AによるTAMを介した肺転移促進作用を直接証明するために、in vivoでIL-17KOマウスに担癌した腫瘍に、IL-17の作用を受けたマクロファージを移入することで肺転移が促進されるか検証する。最終的にIL-17およびマクロファージを指標とした治療モデルを作成する。

URL: 

公開日: 2021-03-11  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi