研究課題/領域番号 |
17K10558
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
西本 真弓 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 研究員 (00757883)
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研究分担者 |
遠山 竜也 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 教授 (30315882)
近藤 直人 名古屋市立大学, 医学(系)研究科(研究院), その他 (90529166)
遠藤 友美 名古屋市立大学, 大学院医学研究科, 講師 (20566228)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 乳癌 / miR-569 |
研究実績の概要 |
エストロゲン・レセプター(ER)陽性乳癌のなかには、予後不良なものが存在し、その治療成績の向上が喫緊の課題となっている。最近、乳癌の増殖に、miR-569が深く関与していることが報告された。私たちはこれまでに、miR-569の標的遺伝子であるTP53INP1の発現低下が、ER陽性乳癌の予後不良因子であることを初めて見出した。この研究により、TP53INP1 の発現を制御するmiR-569 が、ER 陽性乳癌の治療標的となり得るのではないかと考え、本研究を立案した。これらの研究成果を踏まえ、本研究では、ER陽性乳癌に対するホルモン療法の効果増強を目指したmiR-569ノックダウン療法の開発を目的とする。miR-569に関してこれまでに行った実験として、TaqMan RT-PCR システムを用いて、10 年以上の長期予後と臨床病理学的データが揃っている2000~2006 年までの約500 例の乳癌症例を対象に、乳癌凍結標本からRNA を抽出し、miR-569の標的遺伝子であるTP53INP1遺伝子の mRNA発現と臨床病理学的因子および乳癌治療後の予後との検討を行った。その結果、全症例を対象とした検討だけでなく、術後ホルモン療法を行ったER陽性乳癌のみを対象とした解析においても、TP53INP1低発現は独立した予後不良因子であった。一方、術後ホルモン療法の適応とならないER陰性乳癌においては、TP53INP1発現と予後との間に相関は認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳癌組織を使用した検討は順調に進んでいるが、乳癌細胞株を用いた検討がまだ進んでいないため。
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今後の研究の推進方策 |
乳癌細胞株におけるmiR-569およびその標的遺伝子・上皮間葉転換(EMT)関連遺伝子発現の検討を行う。乳癌細胞株を用いてmiR-569発現状況を解析する。さらに、miR-569の標的遺伝子とEMT関連遺伝子のmRNA発現をTaqMan法にて、蛋白発現をウエスタンブロットにて測定し、miR-569高発現細胞株を対象に下記の実験を行う。乳癌細胞株におけるmiR-569発現抑制(ノックダウン)に関する検討: miR-569高発現乳癌細胞株を対象に、miR-569に対するsiRNAを用いて、miR-569発現をノックダウンして、①細胞増殖能をWST1アッセイにて、②アポトーシスの有無については以下に示す方法にて検討する。TUNEL法等で、断片化DNAの検出をすることによりアポトーシスの有無を検討する。次に、miR-569ノックダウンと既存のホルモン療法併用の検討を行う。上記Aと同様に、miR-569高発現細胞株を対象に、miR-569を、siRNAを用いてノックダウンするとともに、各種ホルモン療法薬を同時投与した場合における、上記①細胞増殖能、および②アポトーシスの解析を行い、miR-569ノックダウン療法の既存のホルモン療法に対する増感効果について解析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
乳癌細胞株を用いた実験が進んでいなかったため次年度使用額が生じた。使用計画:乳癌細胞株におけるmiR-569およびその標的遺伝子・上皮間葉転換(EMT)関連遺伝子発現の検討を行う。乳癌細胞株を用いてmiR-569発現状況を解析する。さらに、miR-569の標的遺伝子とEMT関連遺伝子のmRNA発現をTaqMan法にて、蛋白発現をウエスタンブロットにて測定し、miR-569高発現細胞株を対象に実験を行う。
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