研究課題
雄性Lewisラットを用いて2/3小腸切除モデルを作成し、術後3週間から1週間0%PA食を与えて術後4週から飼料中のPA(ポリアミン)含有量(スペルミジン、スペルミンを等量ずつ添加)で0%、0.01%、0.05%、0.1%摂取群の4群に分けて自由摂食させた。術後8週間で各組織のPA濃度が摂取PA濃度依存性に増加した。血清・糞便中のIgAをELISAで、組織IgAをWBで定量、いずれもPA依存性に増加していた。 腸管は上皮細胞間のタイトジャンクション(TJ)によりシールされ、体外・内環境とのバリアとして機能する。細胞透過性やTJに対してPAが与える影響を評価するためにin vitroの評価法としてcaco-2単層培養系を用いて評価予定であったが安定培養が困難であり腸オルガノイドを樹立してPAの影響を評価する方針に変更、オルガノイド樹立を試みている。WBでTJタンパクであるClaudin-3、ZO-1発現の定量評価を試みている。in vivo評価として糞便中ムチンを測定、PA濃度依存性に増加していた。血清DAOは各群間で差を認めず。糞便のDNAを抽出、次世代シークエンサーを用いて腸内細菌の16S rRNA領域を対象に網羅的な細菌叢解析を行ったが、各群間で特定の傾向はあるものの有意差には至らず。腸上皮保護効果があることが知られている酢酸やプロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸について糞便中の含有量を測定したが各群間で有意差はみられなかった。短腸症の合併症である腸管不全合併肝障害評価のためにリアルタイムPCRにより酸化ストレス、小胞体ストレス、脂質代謝などに関連する遺伝子の肝臓組織中のmRNA発現定量を行ったところ、PA摂取濃度依存性にNrf2標的遺伝子のGSTM1が増加、肝癌発症リスクを低下させるAIMの増加、小胞体ストレスによる脂肪肝炎発症に関連するSREBPの低下を認めた。
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