研究課題/領域番号 |
17K10570
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
古川 孝広 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (70444916)
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研究分担者 |
土井 俊彦 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 科長 (20522907)
設楽 紘平 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (20730419)
藤井 誠志 国立研究開発法人国立がん研究センター, 先端医療開発センター, ユニット長 (30314743)
原野 謙一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (80627258)
内藤 陽一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 東病院, 医員 (90590373)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | トリプルネガティブ乳癌 / 遺伝子発現 / 亜分類 / TILs |
研究実績の概要 |
乳癌患者の治療効果予測として、腫瘍浸潤リンパ球(TILs)高値が抗腫瘍免疫の指標として指摘されている。本研究ではTILsやそのサブセットの免疫染色(IHC)を行ない治療効果予測・予後予測となるか、ひいては腫瘍部における免疫細胞がどのように抗腫瘍効果を発揮するかを明らかにする。我々はTNBCには免疫能の高いグループが存在することを示し、これらはTILs高値であることが示唆されているが、その背景としてCD8やTregの分布など免疫細胞の動態は不明である。TNBCは遺伝子発現データで亜分類されるようなヘテロな腫瘍であり、どのような腫瘍でCD8陽性TILsやTregの増多など、免疫チェックポイント阻害剤の効果の期待できる対象が出現するかを、TILsサブセットを介して探索的に検討する。 化学療法を実施したトリプルネガティブ乳癌を対象とし、遺伝子発現をもとにした亜分類が報告されている。我々の研究では、この亜分類を免疫染色による亜分類法に落とし込み、TILsを含めて評価することで、遺伝子発現による亜分類よりも簡便で、治療選択につながる分類を同定することを目的としている。 特に近年、TNBCを対象としたチェックポイント阻害剤の知見が進行しているものの、単剤での効果に限界があると考えられており、化学療法との併用などの治療選択にシフトしつつある。その中で、様々な分子標的薬に効果のある分類を行ない、特に免疫チェックポイント阻害剤が効果が得られる対象を同定することが、副次的な目的である。 そのため、亜分類に必要な免疫染色、TILsサブセットの評価、遺伝子発現データ、フローサイト目トリーなどのデータとともに、当院で実施した免疫チェックポイント阻害座どの治療効果を含んだ臨床データを利用して、臨床的有用性を評価できるような分類を行なっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当院におけるアーカイブサンプルを利用した、術前化学療法を実施したトリプルネガティブ乳がんをリスト化した。このリストには術前標本、手術標本の有無を確認し速やかに免疫染色等に使用できるかどうかを記録した。また、pCRヤ予後を含めた臨床情報のデータベースを作成した。 同時に、前向き研究として遺伝子発現や変異なども同定しやすいように、凍結標本を含めたregistrationを開始し、リンパ球のフローサイトメトリなどの免疫情報を補強できるコホートを準備している。 すでに免疫染色のうち、HE、CD8、PDL1、の染色を実施し、条件の評価と測定を行なった。またFOXP3/CTLA4、FOXP3/CD25の二重染色を条件設定し、測定を行なった。 亜分類に直接つながる免疫染色は、開始予定であったが、本年度に実施する。
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今後の研究の推進方策 |
手術標本などのサンプルが豊富な標本を用いて、亜分類につながる免疫染色の染色条件設定を実施し、候補となるサンプルで免疫染色を行うこと、前向き標本を利用して遺伝子発現などの評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
初年度の主な出費予定と考えていた抗体の購入や資材の購入を今年度に移行させたために、今年度に購入することとしました。研究資金の使用用途は、当初予定していた通りに実施予定となります。
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