研究課題
術前化学療法を実施したStageI-IIIのトリプルネガテイブ乳がん(TNBC)を対象として、術前化学療法を実施する前の生検標本を用いて、ER/PgR/HER2を再確認しTNBCであるものを組み入れた。同標本を用いて、HE(TILs)、E-cadherin、EGFR、CK5/6、Vimentin、ARの免疫染色を実施し、それぞれを陽性と陰性に分類し、gene expressionによるTNBCの亜分類に準じて免疫染色による亜分類を行った。TILsの評価として高値と低値に分類するほか、腫瘍周囲環境の免疫機能の評価のために免疫細胞の多重染色を行った。E-Cadherinは膜蛋白でH-score ≧100を陽性、更にEGFR膜タンパク ≧ 1%、CK5/6 膜タンパクor細胞質 ≧ 10%、Vimentin > 0%、AR 核≧ 10%を陽性と定義した。Basal like はIHCでのE-cadherin、EGFR、CK5/6陽性例、MesenchimalはIHCでのVimentin陽性例、LAR(Luminal androgen type)はIHCでのAR陽性例とし、亜分類が重複する場合にはheat mapにより亜分類を試みる。特に各亜分類におけるTILsの評価が更に治療効果や予後予測に有用であるかを評価する。最終年度で追加染色標本を実施し、現在も評価を行なっている。検体と染色結果、予後調査のアップデートを含めた臨床情報が全て揃っており、生物統計科とのディスカッションをおこなっている。TNBCの新規亜分類による化学療法の効果予測と予後予測について評価し、再発例など免疫チェックポイント阻害剤の有効例についても記述的な評価を行う。本年度中の学会発表並びに、論文採択を目指している。