研究課題/領域番号 |
17K10576
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
亀井 尚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (10436115)
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研究分担者 |
藤島 史喜 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (40451596)
多田 寛 東北大学, 医学系研究科, 准教授 (50436127)
権田 幸祐 東北大学, 医学系研究科, 教授 (80375435)
大内 憲明 東北大学, 医学系研究科, 客員教授 (90203710)
櫻井 直 東北大学, 大学病院, 助教 (40451570)
岡本 宏史 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (80732487)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 蛍光計測 / 消化管クリップ / 術中ナビゲーション |
研究実績の概要 |
本研究は「管腔外から認識可能な蛍光消化管クリップの開発と応用」を目的に、①新規蛍光プローブPIDを用いて、これを担持させた消化管内視鏡用クリップの作成、②作成した消化管クリップの蛍光特性(蛍光強度、退色時間、従来の蛍光物質との比較)の解析(in vitro実験)、③大動物を用いた消化管管腔外からの蛍光シグナル検出と解析(in vivo手術実験)、④蛍光クリップの消化管粘膜への影響の検討(病理学的検討、急性期安全性を含む)、⑤消化液がクリップ蛍光特性に及ぼす影響の検討 の5項目の実験研究を計画した。平成29年度は、研究計画に従って、以下の3項目を中心に研究を行った。 ①新規蛍光プローブPIDを担持させた消化管クリップの作成:消化管内視鏡用クリップ(外径2mm)の基部に新規蛍光物質PIDを内包・担持させ、蛍光クリップを作成した。このクリップは、鉗子口へのスムーズな挿入が可能で、ファイヤーも可能なことを確認している。②作成したクリップの蛍光特性の解析:PID蛍光クリップの蛍光特性(蛍光強度・蛍光保持)を解析した。蛍光強度は従来の量子ドットと比較して約20倍と優れ、退色時間も観察範囲内では消退を認めなかったため、より強く、安定した蛍光シグナルとして観察可能であることを証明した。③ブタを用いた消化管管腔外から蛍光シグナルを解析(in vivo手術実験):作成した蛍光クリップをブタ腸管の内側からファイヤーし、食道・胃・小腸・大腸でそれぞれ観察した。消化管壁の厚さは、励起光の到達と蛍光シグナルの検出はい大きく影響するが、特にブタ胃壁は厚く、現時点では蛍光観察ができていない。一方、食道、小腸、大腸では管腔外から蛍光シグナルの検出が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度に計画した研究は、新規蛍光クリップ作成、同消化管クリップの蛍光特性の解析、ブタモデルでの消化管管腔外からの観察の3項目であったが、いずれも計画通り進んだ。蛍光クリップの作成については、今後も効率よいPIDの担持方法や最適な量、アプライヤーの改良などは継続していく。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度に引き続いて、クリップ部位の生体内深度と蛍光計測装置の蛍光検出能力との関係、効率よい観察手法の決定について検討する。さらに臨床応用を念頭にした研究を進める必要がある。平成30年度以降に計画していた、PIDが消化管粘膜へ及ぼす影響および、消化液がPIDの蛍光特性に及ぼす影響を明らかにする。従来、人体に無害な有機系物質であるが、この課題をクリアすることで蛍光消化管クリップの臨床応用への展開が迅速に進むと予想される。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)当該年度に必要なPID、クリップについては、数量も限られ、また、試作品も含めたため、あまり費用が掛からなかった。また、大動物の実験においても、自研究室で行う他の実験に合わせて、同個体でパイロット的な意味で行ったため。 (使用計画) 平成30年度以降は、実験に使用するPID、およびクリップの数量が多く必要とされる。また、病理学的検討を新たに加えることで試薬や抗体の購入も行うため使用予定である。さらに、動物実験も繰り返し行う必要があるため、その購入を行う予定である。
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