研究課題
進行胃癌は高頻度に再発をきたす予後不良な疾患である。胃癌のスクリーニング、治療方針決定のための進行度診断、治療の効果判定、切除術後の再発モニタリングのいずれの場面においても、非侵襲的かつ簡便に採取可能な血清で測定が可能な優れた腫瘍マーカーの開発が必要である。現在の胃癌診療現場で使用されている既存の腫瘍マーカーCEA、CA19-9を凌駕する診断能を有する腫瘍マーカーの開発が個別化治療の時代の到来に際し急務である。本研究では日本と韓国の国際共同研究により大規模な検体とデータを前向きに収集し、過去の単施設バイオマーカー研究の成果であるANOS1、MAGE-D2、DPYSL3の3分子の分子の胃癌血清腫瘍マーカーとしての有用性を検証することを目的とした。前向きな症例集積は順調に進み前年度までに予定通り症例登録を完了した。全収集検体を対象に、ANOS1、MAGE-D2、DPYSL3それぞれの血清値を特異的ELISA法によって測定した。ELISA結果をもとに、ANOS1、MAGED2、DPYSL3のそれぞれにおいて、測定された治療前血清値と臨床データとの相関解析を開始したところ、3つのマーカーのいずれも「胃癌症例でコントロールより血清値が増加している」「胃癌切除術後に術前値から低下している」ことが明らかとなった。特に、ANOS1はStage I胃癌の段階で高度に血清値が増加しており、早期スクリーニング法に応用可能と考えられた。DPYSL3は進行胃癌症例で早期胃癌症例より血清値が高値であり、悪性度を反映するバイオマーカーとなると考えられた。3マーカーとも血清CEA、CA19-9値との有意な相関性はを含む診療データの前組織中のマーカー値と血清値の間には、強い相関性は認めなかった。
すべて 2019
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Gastric Cancer
巻: 23 ページ: 203-211
10.1007/s10120-019-00995-z