研究課題
本研究は、癌細胞から分泌されるエクソームに包埋されたmicroRNAsの網羅的解析により今まで困難であった血清/血漿中の疾患特異的診断マーカーを同定することである。複数の消化器癌種の細胞株 (胃癌、大腸癌、食道癌)に発現するmicroRNAs, そこから分泌するエクソームに包埋されたmicroRNAsの2群間のprofilingから胃癌特異的microRNAを同定し、精度の高い胃癌診断法の確立を目的とする。さらに臨床検体に発現するmicroRNAsならびにそれらの患者の血清中から分離されたエクソームおよびmicroRNAsを用いて、内視鏡治療後の追加外科切除の可否を判定することを目指す。本年度は胃癌細胞株、食道癌細胞株ならびに大腸癌細胞株をウシ由来エクソソームを除去したFBSを用いて培養し培養液上清をサンプリングしエクソソームを分離する。分離したエクソソームから蛋白を抽出し、プロテオミクスを用いて、網羅的にエクソソームに発現する蛋白の発現を確認した。また同様に正常腸上皮細胞株の培養上清中のエクソソームについてもプロテオミクス解析を用いて網羅的に蛋白発現を確認した。しかしながら候補としてピックアップできた蛋白は発現量も少ないことから、ELISA法で測定を試みたが、検出限界以下で安定した値を測定するには、血液量が想定以上に非常に多く必要となることが分かった。その一方で、癌組織の特異的発現という観点から、網羅的解析も並行して進め、その結果から得られた蛋白X発現は癌組織で特異的に高発現を示すほか、有用な予後マーカーとなることを確認した。現在、この蛋白Xの血液でのマーカーとしての有用性をELISA法で検索しているほか、その機能解析を継続中である。
3: やや遅れている
エクソソーム抽出方法および条件設定にやや時間を要したため。
癌組織の網羅的解析から同定した蛋白Xの血液でのマーカーとしての有用性をELISA法で検索しているほか、その機能解析を進める予定である。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Ann Surg Oncol.
巻: 26 ページ: 876-883
10.1245/s10434-018-07112-x.