研究実績の概要 |
腫瘍関連好中球を介する胃癌リンパ転移機序を解明するために、ヒト胃癌(低分化腺癌由来)細胞株(MKN-45)と胃癌(高分化腺癌由来)細胞株(MKN-7)を使用し初代継代を施行の上、リンパ節転移発現株を樹立した。 上記より作成したMKN-7, MKN-45, KATO-Ⅲのリンパ節転移高発現細胞株と対照群を胃壁内に注入し、原発巣およびリンパ節転移巣を摘出し、これらの転移巣に浸潤している好中球を抽出した。抽出した好中球をmicroRNA arrayにかけ、発現プロファイルをもとに胃癌リンパ節転移関与するいくつかの腫瘍関連好中球miRNAを確認した。胃癌切除後のfresh frozen sampleを使用し、同時性リンパ節転移を認めた症例(5例)と、ほぼ同じ深達度で同時性リンパ節転移を認めなかった症例(5例)より腫瘍組織内に浸潤した好中球を抽出し、それらの好中球よりtotal RNAの抽出を行った。上記2群間のtotal RNAを用いてmicroRNAマイクロアレイを施行し、Human sampleからの胃癌リンパ節転移関与腫瘍関連好中球のmiRNA(発現上昇miRNA群、発現低下miRNA群)を確認した。In vitroで抽出されたリンパ節転移関連miRNA群でかつhuman sampleより抽出したリンパ節転移関与miRNA群とで両群とも高発現、もしくは両群とも低発現となる候補遺伝子群を絞り込んだ。リアルタイムイメージで、胃癌リンパ節転移症例の治療への応用の可能性を検討したが、リアルタイムイメージの撮影は困難であった。また、実際に絞り込んだ腫瘍関連好中球マーカーを永久標本にて確認作業をおこない、好中球マーカーのほかに単球マーカーとリンパ球マーカーも同時に評価し、その臨床的意義を検討した。
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