研究課題
【目的】5-アミノレブリン酸 (ALA)の代謝産物であるプロトポルフィリンIXは癌細胞に特異的な過剰集積し青色光の照射により赤色蛍光を発する特性を有しており、この光力学診断 (photodynamic diagnosis: PDD)の胃癌に対する臨床応用について探索的検討を行うことを目的とした。【方法】手術適応胃癌21症例26病変および審査腹腔鏡検査を施行した高度進行胃癌15症例を対象とし、PDDの診断精度に関して探索的検討を行った。光力学診断装置は、専用ビデオカメラシステム(KARL STORZ)、光源 (D-Light AF System)およびPDD専用機を用い、励起光は380-440nmの青色光で、先端出力は50 mWとした。ALA 1g/5%ブドウ糖液50ml溶解液を投与し、PDD専用装置を用いて観察し、病理組織学的所見と対比し評価した。【結果】胃癌手術21症例26病変を対象とした探索的検討では、正診率 66.7%、感度 57.7%、特異度 100%、陽性予測値 100%、陰性予測値 38.9%であった。PDDを用いた審査腹腔鏡検査15症例の年齢中央値は68歳(47-83歳)、男性8例、女性7例で、腹膜播種を認めた症例は、通常観察6例、PDD 8例で、2例は通常観察では発見できなかったが、PDDで確認することができた。PDD陰性の腹膜播種は腹膜転移巣に占める腫瘍量が非常に少なく偽陰性を示したものと思われた。嘔気、嘔吐、腹部皮膚発赤、顔面紅潮、低血圧等の有害事象を認めたが、Grade 3以上のものはなかった。【結語】ALAを用いたPDDを併用することにより審査腹腔鏡検査における腹膜播種診断の精度を高める可能性が示唆され、今後、多施設共同治験として臨床的な有効性、安全性に関する検討を要するものと思われた。
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