研究課題/領域番号 |
17K10597
|
研究機関 | 福島県立医科大学 |
研究代表者 |
中島 隆宏 福島県立医科大学, 医学部, 博士研究員 (90567447)
|
研究分担者 |
河野 浩二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (40283204)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 抗体 / ADCC / 胃癌 |
研究実績の概要 |
【背景、目的】 ハーセプチンやリツキシマブなどの抗体製剤は、乳癌、胃癌、リンパ腫の治療体系の標準治療に組み込まれ、癌患者の予後向上に寄与してきた。しかし、その効果は依然として限局的であり、癌細胞が耐性を獲得するなど、さらなる改善が急務である。近年、抗体医薬において、抗体糖鎖からフコースを除去(脱フコシル化)すると、抗体依存性細胞障害活性(antibody-dependent cellular cytotoxicity;ADCC)が大幅に増強することが示された。しかし、現在までに、消化管癌を対象とした臨床検体での細胞株と消化管癌患者末梢血単核球細胞を用いた検証はなされていない。本研究では、消化管癌において、既存の抗体医薬に比し脱フコシル化抗体の有効性を示すことを目標としている。 【結果】 ターゲットとなる癌細胞は、EGFR陽性株としてMKN28(胃癌細胞株)を、HER2陽性株としてMKN7(胃癌細胞株)を用いた。抗体については、協和発酵キリン株式会社との共同研究協定締結に基づき、抗HER2抗体、抗EGFR抗体それぞれの脱フコシル型、通常型の無償供与を受けた。採取調整したPBMCをエフェクター細胞として各wellへ加え、37℃7時間培養を行う。その後、LDH法にて細胞障害度を測定し定量化する。通常型の抗体によるADCC活性では、20例の胃がん患者からのPBMCは、健常者からのPBMCに比し、有意にADCC活性が低下していた。また、脱フコシル型抗体を用いたADCCでは、癌患者、健常者ともに著明なADCC増強作用があり、さらに、そのADCC活性は、健常者PBMCと癌患者PBMC間での有意差はなくなっていた。本結果を、Oncology Letterに発表した
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果をOncology Letterに発表した。
|
今後の研究の推進方策 |
さらに症例数を増加させ、また、脱フコシル型抗体とNK細胞上のFc receptorとの結合親和度の測定を行う計画である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
いままでの解析は、すでに研究室で確立した方法でアッセイしており、消耗品や物品が残余の物で代用できたため実質的な支出がなく、次年度使用額が生じることとなった。
|