研究課題
臨床的にStage IIまたはStage IIIと診断された食道扁平上皮癌に対する標準的な治療は、術前の全身化学療法と根治的切除である。臨床的に問題となる術前治療への抵抗性、再発リスクや腫瘍学的予後を治療前・手術前に判定することができれば、周術期の診療方針の個別化に大きく貢献するものと考える。本研究では術前化学療法の前後に採取する血液検体・組織検体を最大限に活用することで、癌の転移や化学療法抵抗性を誘導する中心的分子機構である上皮間葉移行(Epithelical-Mesenchymal Transition:EMT)モニタリングを試みるものである。比較的新規の手法を用いたLiquid biopsyと、免疫組織学的にEMT判定を行うTissue biopsyに並行して、CT、PET、既存の炎症・栄養関連マーカーなどマルチモダリティ評価を経時的に行うことで、実臨床に応用可能な食道癌のバイオマーカー確立を目指している。食道癌症例の術前治療の前後に血液検体を採取し、血中循環腫瘍細胞(Circulating Tumor Cells:CTC)を測定している。上皮型、間葉型と推定されるCTCをそれぞれ定量しており、臨床的な治療効果や組織学的効果判定との関連を検討中である。組織検体を使用した上皮間葉移行について免疫染色を用いた染色法、評価法の確立を試みている。
すべて 2019
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FUKUSHIMA JOURNAL OF MEDICAL SCIENCE
巻: 65 ページ: 6~12
10.5387/fms.2018-12