研究課題
胃癌患者ならびに健常対照者から説明同意のもと末梢血液を採取し、低速の遠心分離による血漿成分の分離の後、ACD溶液ならびにCFT溶液による洗浄を行い、各々の血小板濃縮溶液を精製した。これらを用いて胃癌細胞株への添加による共培養実験を行ったが、血小板との共培養によって形態学的には胃癌細胞自体に明らかな変化は認めなかった。一方、電子顕微鏡による観察で、癌細胞表面全体にわたる血小板の接着が確認され、これらは添加後15分で既に接着が確認され、PBSによる洗浄では容易に外れなかった。次に、胃癌患者由来血小板を用いて胃癌細胞株の培養液への添加による様々な細胞機能についての解析を行った。また、これら血小板添加群と血小板非添加群との解析比較から、血小板添加による癌細胞の悪性度への影響について検討した。細胞増殖能の解析では、胃癌細胞株培養液中への添加によって、経時的な増殖能の有意な上昇を認めた。Boyden chamber assayを用いた遊走能解析でも、培養液中への血小板の添加によって遊走能の亢進を認め、Matrigelを用いた浸潤能解析でも、血小板の添加によって浸潤能の有意な亢進を認めた。また、中皮細胞を予め接着させたプレートを用いた接着能解析も行ったが、血小板の添加によって癌細胞の中皮細胞への接着が亢進された。別の胃癌細胞株でも同様の機能解析を各々施行したが、細胞増殖能の上昇、ならびに遊走・浸潤能の亢進、中皮細胞への接着能の亢進を認め、これらの変化が胃癌細胞と血小板との共通の相互作用である可能性が示唆された。
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Oncology Report
巻: 41 ページ: 2595-2560
10.3892/or.2019.7023.