研究課題
本研究では食道辺鄙上皮癌を対象として、Circulating tumor DNA (ctDNA)検査の臨床的妥当性を検討した。研究機関では36症例の解析症例のうち34症例でctDNAモニタリングが可能であった。食道癌ctDNAモニタリングでは、1)再発・再増大の早期検出、2)無再発の確認、3)正確な治療効果判定、において臨床的妥当性を有することを示している。全34例でctDNAモニタリングにより、1)再発・再増大の早期予測は6例、2)無再発状態の確認は18例、3)治療効果の判定は24例で評価可能であった。34例中31例 (91%)でいずれかの臨床的妥当性が占めされた。ctDNA解析における近年の報告ではNGSを用いたbroad-coverage assayによるものが多い。組織採取困難な症例や癌の進展にともない新たに獲得される変異の検出、治療法のない癌種や状態での薬剤の投薬根拠となる変異の検出には、いわゆるLiquid biopsyとして最も適した方法と考えられる。しかし、治療期間での頻回な検査や長期間のfollow upなど広く多数の癌患者で行うことは、コストや解析時間から現段階では困難と思われる。また、0.1%以下の微量なctDNAはいずれの手法を用いても、偽陽性・偽陰性は完全に避けられないため、異なる手法による検証も必要である。治療法決定に多くの情報が必要な場合のNGS解析と治療効果の頻回な判定、長期間の再発モニタリングにはdigital PCRと、両ctDNA解析手法を合わせたシステムの確立が重要であろう。食道癌の日常臨床診療における少数の変異を標的としたdPCRによるctDNA解析の可能性について述べた。本手法はhotspot変異を有しない癌や症例にも広く応用可能であるものと思われる。
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medRxiv
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