研究課題/領域番号 |
17K10608
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
福島 亮治 帝京大学, 医学部, 教授 (50228897)
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研究分担者 |
飯沼 久恵 帝京大学, 医学部, 講師 (30147102) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 胃癌 / リキッドバイオプシー / microRNA / PD-L1 / PD-L2 |
研究実績の概要 |
2017年に胃癌に対する新たな3次治療として、免疫チェックポイント阻害剤ニボルマブの適応が認可された。しかし治療効果予測が可能なバイオマーカーは未確定で、リキッドバイオプシーを含めた新たなバイオマーカーが必要とされている。 本年度は、胃癌に対する新たなバイオマーカーの探索を目指して、最近特に注目されている免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1およびPD-L2に着目し、胃癌患者血漿・腫瘍組織中のPD-L1およびPD-L2蛋白量を測定し、臨床病理因子、再発および予後との関連性を検討した。 1)対象・方法 2006年11月から2013年12月に帝京大学病院上部消化管外科にて手術を施行した242人、男性/女性170/72例の胃癌患者を対象とし、血漿・腫瘍組織中のPD-L1・PD-L2の発現を測定した。 2)結果 末梢血におけるPD-L1・PD-L2発現を胃癌患者と健常人(n=8)で比べたところ、胃癌患者においてPD-L1とPD-L2の発現は、健常人と比べて高値を示した。242人の胃がん患者の検討で、血漿中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.406、腫瘍組織中PD-L1発現とPD-L2発現の相関係数は0.435で、いずれも有意な相関がみられた(p<0.001)。一方、血漿中PD-L1・PD-L2発現と腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現の有意な相関は認めなかった。また、血漿中・腫瘍組織中PD-L1・PD-L2発現と病理学的ステージとの相関も認めなかった。さらに、中央値で、高/低発現の2群に分けて比較したが、年齢以外の臨床病理因子との明らかな相関はなく、予後にも影響を与えなかった。 3)結論 胃癌患者の術前PD-L1・PD-L2発現は健常人よりは高いものの、病理ステージとの相関はなく、予後予測マーカーとはならないことが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目的は、胃癌に対する新たなバイオマーカーの探索を目指して、最近特に注目されている免疫チェックポイント関連分子であるPD-L1およびPD-L2に着目し、胃癌患者血漿・腫瘍組織中のPD-L1およびPD-L2蛋白量を測定し、臨床病理因子、再発および予後との関連性を検討することであった。また、その結果とこれまでの研究成果をまとめて、最終報告書を作成する予定であった。
本年度は、242人の胃癌患者を対象として検討したが、PD-L1およびPD-L2と臨床病理因子との明らかな相関はなく、予後にも影響を与えないことが判明した。
本年度は当初の予定では最終年であることから、これまの結果と本年度の結果を合わせて最終報告書を作成する予定であった。しかし、本年度の結果が出たのが、年度末となった関係上、最終報告書を作成するには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これまでに集積した研究データを最終解析し、報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
データの取得は昨年度でほぼ終了しており、本年はデータの最終解析と報告書の作成が主なる予定である。
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